心が安まる 老子

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  PHPから出版されていて、伊藤淳子さんが著者の本です。老子のことばを81章にまとめています。非常にわかりやすく、心温まり、一気に読めてしまいま す。というか、何度も読みたくなります。いつもそばにおいておきたい本です。孔子・荘子・孟子・老子など、中国の古代の思想家は、あの時代になぜ、このよ うな思想を構築できたのでしょうか? 中国の昔(今も一部そうだそうですが)、とても残酷な時代です。戦国時代など、90%以上の国民が亡くなってしまい ました。人肉文化もあります。文化的にも、自国民を平気で殺すのは、天安門事件をみても明らかです。
 誤解していただきたくないのは、私は、今の中共ということではなく、中国が好きです。個人旅行も含めて4回行っています。
 話を戻しますが、この環境が悪い中国の古代でこれだけの思想が生まれ、脈々と現代に至るまで受け継がれてきています。私見をいくつか述べさせていただきます。

1.人間は変わっていないということ
 何千年も前の思想がいまだに通じるということは、人間はその頃から何も変わっていないということです。仏教やキリスト教をみても釈迦やキリストの教えを 未だに信奉していることは、人間の本質は変わりないということです(イスラム教は勉強していませんので、あしからず)。科学技術は発達しましたが、発達す ればするほど、これらの思想が大切になってくるのでしょう。日本は、戦後、食べることを心配しなくてもよい国をつくりたいという国民の合意の下、発展を続 けました。それと、戦後の占領軍による戦争犯罪プログラムにより、日本の戦前はすべて否定されたため、金銭的な豊かさと引き換えに精神的な豊かさを失って しまいました。今、ベストセラーと呼ばれる本はふたつに分かれています。「お金儲けの本」と国家の品格や武士道などの「精神的な本」です。お金儲けは否定 しませんが、せっかくこの国に生まれたのですから、世界のどの国よりも素晴らしいわが国の精神文化を学んでも損はないと思います。もう一度、数千年前から 変わらない人間を見つめるために。

2.環境のよさが人を成長させるのではないということ
 私たち現代に生きる者にとってははかりしれない残酷な時代を、老子たちは生きたのでしょう。普通ならばというか、現代人なら、10分も生活したら発狂す るくらいのつらい世界でしょう。人類を見ていて、また聖書を読んでいても、つらい時期、不都合な時期に素晴らしいものが生まれています。近い例でいうと、 子供の学習教材を見ていても、今は素晴らしいものが揃っています。「自分の子供時代にこんなのがあったら、もっと勉強していたよなぁ」と思います。だけ ど、私たちの子供の頃より世界のランキングは下がっています。
 環境のよさが人間を強くするのではなく、むしろ弱くするのでしょう。今は、食べ物やおもちゃもすべて揃っています。だから、自分で工夫することをしませ ん。おやつも、おいしいものを揃えてくれています。どちらがいいのでしょうか?ニートなんて、自分の責任で成長しない人間にまたよい環境を与えようとして いる社会ですから。

3.経営をしていて気をつけること
 小さな会社ですが、経営をしているとどうしてもお金のことが最初に頭に浮かびます。お金のことばかり頭にあるときに、老子など読むと、「何言ってんだ い、会社がつぶれたらどうすんだよ!!!」と言いたくなります。でも、落ち着いているときに読むと、「たしかにそうだよな~。人間を人間としてとらえて、 人間が成長してはじめて事業が成長するんだよな~。取引先も人間なんだからあたりまえだよな~」と考えてしまいます。老子は、私が行っているような努力な ど、芥子粒ほどでもない時代に生きたのですから、私などが老子の思想をどうのこうの言うのではなく、素直に受け止める方がいいですよね。


 とにかく、一度読んで見てください。般若心経でいうところの空が少しだけ味わえる間もしれません。

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コメント(2)

いまごろのコメントで申し訳ありません。
拙著のご紹介、ありがとうございます。つたない訳ですが、老子と向き合い、改めて「このままのよさ」を自分自身でも実感した思いがします。
おかげさまで、このたび電子書籍になりました。またご縁がありましたら、よろしくお願いいたします。

伊藤様、コメント感謝申し上げます。確か数年前にも一度いただいていたと記憶しております。当時のブログが壊れていてまだ修復できていないので伊藤様のコメントが残っていません。ご著書は時々開きます。いつもとても心が落ち着きます。とても良い出会いを感謝申し上げます。ご活躍をお祈りします。また、時々、Blogに来て下さい。


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このブログ記事について

このページは、宝徳 健が2006年4月 4日 08:58に書いたブログ記事です。

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