どの本よりわかりやすいギリシャ神話：ヘクトルとアキレウスの戦い

   母親は、鶏をつるすように、赤ん坊のアキレウスの足首を持ってドボンと中につけこみました。肉体 は不死になったのですが、手で持った足首の部分だけが水に触れず、そこだけがアキレウスの弱点となりました。アキレス腱の由来はこのエピソードからきてい ます。

　足首を除けば体中不死身ですから強いのなんの。でも、性格的には偏屈で、依怙地でした。怒れば凶暴そのものです。友情には厚い一面もあったようで す。

　アキレウスは最初、トロイア戦争に行くのは嫌でした。なんとか行かないように女装して逃げようともしました。戦争が始まってからもはじめはあまり 積極的には戦いませんでした。

　ところが、幼馴染の友人がヘクトルに殺されて、死骸に辱めまで受けたことを知っ て、激昂します。愛用の槍をもってトロイアの城壁へと走ります。

　そのときヘクトルは城外にいました。逃げようとすれば逃げられたのですが、一門の総帥として敵に後ろを見せるわけにはいきません。ヘクトルはどち らかというと戦士というよりも参謀タイプであったので、アキレウスにはかなわずに首を槍で貫かれてしまいました。ヘクトルは言いました。

「アキレウスよ。私の死骸を犬の餌食にしないでくれ。トロイア人の手に返し、あつく葬るようにしてくれ」

　でも、友を殺されたアキレウスは承知せずに、死体のくるぶしに穴を開け、紐を通し、それを戦車にくくりつけて引き回します。そして、ボロボロに なった遺体をトロイアに返しました。

　アキレウスは、この残酷さが神々の怒りにふれて、唯一の弱点であるアキレス腱に矢を放たれて死んでしまいます。殺したのは、パリスに変身したアポ ロンでした。

　さて、面白いのはこれから、ヘクトルの妻、アンドロマケが、トロイア戦争後奴隷としてギリシャに連れて行かれてからのお話しがこれまた面白い。次 号を楽しみにして下しさい。

・・だけど、トロイア戦争が起こったきっかけとなったパリスは、どこでなにしてんでしょうね？？？・・・