戦国策

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 趙の国の滅亡の続きです。趙王は司空馬に趙が滅亡から逃れる方法を聞きます。
司空馬「領土の半分を秦に贈ってください。秦としては戦わずして趙の半分を手に入れることになります。きっと喜びましょう。秦は趙に守りを固められるのをきらいます。それに諸侯からの援軍もこわいことだし、受け入れることは間違いありません。秦は土地を贈られて兵を引き揚げます。趙は残った国土を守って自立します。秦が領土を増やして強大になります。趙が滅びれば、他の諸侯が直接秦の脅威にさらされます。秦を恐れてたがいに助け合えば、合従も可能です。私がその交渉にあたりましょう。合従が実現すれば、たとえ領土の半分を失っても、現実には、他の諸侯を味方につけて秦と対抗できます。やすやすと滅ぼされはしません」

趙王「この前、真に攻められたとき、土地を贈って和睦した。領土は削られ、兵は弱められた。それでも秦からの危険性はさらない。いままた領土の半分を贈って秦を強くすれば、もはや趙は自立できない。これでは滅亡を待つばかりだ。何か他の方法はないか」

司空馬「わたしに軍をお預け下さい。全兵力で秦とぶつかってみます」
 
 趙王はこの案も取り上げませんでした。この先、滅亡までにまだ話が続きますが、一言。

 戦略論が趙王にないのです。戦うか戦わないか。これをまず決めることが大切です。この場合、戦わないという戦略選択は不可能なのです。だから、「戦う」という意思決定が必要です。では、戦うならどうするか。土地を秦にまず贈って、その間に他国との合従連合をつくる。という戦い方。滅亡覚悟で全兵力でぶつかるという戦い方。前者のほうが明らかに有利なのは言うまでもありません。

 なのに、趙王は、戦い方という「戦術論」ばかりに頭が行っています。戦略論がないので、戦術が判断できません。これはリーダーとして失格です。

 一昨日発表された民主党の成長戦略なるものをご覧になりましたか? あれは成長戦略ではなく成長戦術です。戦術論なのに中身がない。それと農業が入っていない。なのに、発表している鳩山首相は、この前の予算案発表のときと同じ「してやったり」という顔をしています。あの人に首相の器がないことは日に日にわかってきますよね? なんか、大企業でいうと、課長クラスの仕事の仕方です。ほんとうに来年が心配です。



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このページは、宝徳 健が2010年1月 1日 08:35に書いたブログ記事です。

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