カウンセリングの技法

| コメント(0) | トラックバック(0)
 このシリーズは右のカテゴリー「心理学」に格納されています。
 カウンセリングには三段階がありました。

①リレーションをつくる
②問題の核心をつかむ
③適切な処置をする

 リレーションを作るために「受容と支持」が必要でした。問題の核心をつかむために「繰り返し」「明確化」「質問」を勉強しました。適切な処理をするために、情報提供とアドバイスがありました。これがカウンセリング体系です。何かを学ぶときは、細かなことを覚えることを主流にするのではなく、必ず、体系を頭に入れてください。でないと、学んだことが使えません。今の日本の知識偏重教育は、物事を体系づけることを、日本人の頭から奪ってしまいました。やはり戦後の教育は誤っていますね。

 今日から、面接中期の諸問題です。

 面接初期がもっぱらリレーションの形成期とすれば、面接中期とは、問題の本質に肉薄し、今まで気づかなかったことをいくつか洞察していく時期です。カウンセリングの山場です。企業経営ではスピードが求められます。すぐに成し遂げることもあるでしょう。だから、こんな悠長なことをしてはいられないと感じる方も多いかと思います。
 しかし、本当に人を育てたいと思ったら、日教組による戦後の誤った教育を受けた人間の病気とも言える考え方を修復しようと思ったら、少し時間をかけること「も」必要だと考えています。

①沈黙
 沈黙が続くと、カウンセラーは耐えられなくなって何かをせずにおられなくなります。足を組む、タバコを吸う、毒にも薬にもならないことを言ってみる・・・これらは結局、空白の不安を埋めようとするあがきです。私たちは、真っ白な壁に取り囲まれているとなんとなく気持ちが落ち着きません(空白の不安)。そこで、壁に絵や時計やカレンダーなどをかけます。それと同じように何事も起こらない空白の時間が流れると、落ち着かないので何かしたくなります。カウンセラーは、クライエントの援助をするためには、この空白の不安に耐える必要があります。

 でも、よく観察すると、クライエントの沈黙が空白ではないことがあります。音声的には空白かもしれませんが、心の中では動きがあるからです。なので、カウンセラーは余計な言葉を発して、クライエントの心の動きを乱してはなりません。

 たとえば、クライエントがどういうふうに表現しようかと言葉を探している沈黙がそれです。心の中では動いているのであるから、カウンセラーは沈黙を気にすることはありません。子供が、一生懸命言葉を捜しているときに、「何かいいなさい! なぜ、こんなことをしたの!!!」という親がいます。これだめです。一緒に漂ってあげればいいのです。

 また、カウンセラーが述べた言葉を、じーっと心の中でクライエントが味わっている場合の沈黙もそうです。このときも、たたみこむように次の言葉を発せず、少し間をとった方がいいでしょう。

 さらにまた、クライエントがある事項・感情を告白してホッと一息ついてる沈黙、あるいは気持ちが静まるまでしばらく話したくないという沈黙。たとえば、クライエントが泣いているときは気持ちが平静に戻るまで一緒に黙ってつきあってあげることが大切です。平静に戻ったら、多分クライエントの方から、今泣いていたときの気持ち、泣いた意味などを語るでしょう。泣いているときに、なぜ泣いているのかなどと質問して答えされるのは、感情の流れをせきとめることになります。

 では、すべての沈黙が、動きのある沈黙なのでしょうか? 次回をれを勉強しましょう。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.soepark.jp/mot/mt/mt-tb.cgi/1832

コメントする

月別 アーカイブ

Powered by Movable Type 4.261

このブログ記事について

このページは、宝徳 健が2010年11月15日 06:18に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「和歌」です。

次のブログ記事は「まだ先、もうすぐ、今すぐ(11月14日の日誌)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。