カウンセリングの技法

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 カウンセリングには三段階がありました。

①リレーションをつくる
②問題の核心をつかむ
③適切な処置をする

 リレーションを作るために「受容と支持」が必要でした。問題の核心をつかむために「繰り返し」「明確化」「質問」を勉強しました。適切な処理をするために、情報提供とアドバイスがありました。これがカウンセリング体系です。

 面接中期の留意点を続けます。前回までは抵抗でした。今回から対抗感情移転を解説しています。大切なところなので、複数回に分けて解説します。

 クライエントや部下や子供の言動に刺激されて、カウンセラーや上司や親が自分の私的感情を出すことを対抗感情移転といいます。

①学力に自信の無い教師が学生に質問だれたとき、何か自分がバカにされたように思って怒る場合
②父に恐怖を持つカウンセラーが年上のクライエントに気合負けして言いたいことも言えなくなる場合
③愛に飢えているるカウンセラーが異性のクライエントに必要以上に親切になる場合

 などです。対抗感情移転とは、いわば「巻き込まれた」状態です。一度巻き込まれると、アバタがエクボに見え、枯れ尾花がお化けに見えてくるので相手を援助できなくなります。見えるべきものが見えなくなるからです。

 どういう場合に対抗感情移転を起こすのでしょうか?

 まずは、権威主義です。権威主義とは自分の考えが一番正しいと思い込み、他者にも自分の考えを押し付ける傾向がある人のことです。こういう人は、自分の考えが否定されると、あたかも自分自身が否定されたように思って自己嫌悪に陥るか、相手を憎むか、あるいは、相手から遠ざかろうとするか(冷淡になる)、相手を攻撃するか、いずれにせよ、友好的・援助的関係が崩壊します。

 たとえば、反抗的なクライエントに「来たくなければ来なくてもいいんだよ。来る来ないは君の決めることで、別に僕が来てくれと頼んだわけじゃないんだから」という場合です。みかけは来談者の自己決定を促しているように見えつつも、心の中で「この強情者が!勝手にしろ!」と叫んでいます。これは対抗感情移転です。

 昔の私は、これがすごく多かったのです。最近、外でこれをやることはほぼなくなってきました。でも、身内にはまだやってしまうことがあります。考えていることに反対されると、感情が表に出てしまいます。

 さて、対抗感情移転を起こす原因は、まだまだたくさんあります。次回もお楽しみに。

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このページは、宝徳 健が2010年11月29日 06:00に書いたブログ記事です。

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