嫁に遺産を渡したくない

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 自分自身の民事信託の研究が大分進んできました。なんせ、すぐれた手法でありながら、知識だけを持っていても活用できず、グランドデザインを描く力がないと、宝の持ち腐れになってしまいます。だから、世の中に事例が少なく、学んだ知識で自分でグランドデザインを訓練を重ねたので、習得にずいぶん時間がかかってしまいました。かなり自信がついてきました。

 私は法律の専門家ではありません。実際に、実行するとなると、法律の専門家の力を借りなければなりません。でも、法律の専門家でも、グランドデザインが描けない人は、民事信託を使えないでしょう。グランドデザインを描くのが得意な私たち中小企業診断士と、知識はある専門家とのすみわけがなされるのも民事信託と言えるでしょう。
 この民事信託は民法を超えるものです。前述しましたが、私は、法律の専門家ではありません。でも、学生時代の一般教養で法律を履修したとき、一番共感できたのが民法でした。社会人になっても、債権法、物権法等に触れ、民法とはなんと素晴らしい法律なんだと思っていました。でも、この民事信託は、民法を超えています(と私が勝手に思っているので、法律の専門家はどう思うかは知りません)。

 以前にも、民事信託はこのブログで紹介しましたが、あの当時と今とでは、私の理解度とグランドデザイン力が格段に違います。また時々紹介しますね。

 今日のタイトルはなんか変なタイトルです。お許しください。

 民事信託に受益者連続信託というものがあります。遺言書では、「自分が死んだら、この遺産は〇〇に渡す」と書くことができます。しかし、「その後、〇〇が死んだら▲▲に」とは書くことができません。民事信託はこれが可能です。商事信託と勘違いしないでくださいね。

では、事例をひとつ(この事例は、今月号の士魂商才(弊社月刊誌)にも掲載しています)。

Aさんは土地を持っています。Aさんはとの土地を有効活用したいと思っています・

Aさん:委託者
Bさん:受託者
Aさん:受益者

Aさんが、その土地を運用してもらうために、自分の土地をBさんに委託します。BさんはAさんの土地を有効活用して収益を上げ、必要経費を差し引いた分、を受益者のAさんに渡します。

これが基本的な民事信託のスキームです。複数の相手や何度も繰り返し商行為をすると商事信託になりますが、そうではないこのようなケースは民事支度となります。

この信託契約の時に、受益者Aさんは、自分の死後息子Cを受益者とする定めをします。そして、その息子Cさんの死後は、孫Dが受益者となるように定めます。信託開始から30年経過したのち、指定された受益者が死亡するまで(または受益権が消滅するまで)の間、効力を発揮します。

このように、民事信託では、民法の遺言ではできない、連続相続が、この受益者連続信託で可能になります。

仲の悪い嫁。元妻の再婚相手などに、自分の遺産が渡らないようにできるのです(例が悪くてごめんなさい)。

民法では、財産がいったん相続人の財産になると、相続人の個人財産となり、その後の承継について指図はできません。

民事信託とはすごいものですね。

もちろん、遺留分減殺請求権には留意する必要があります。

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このページは、宝徳 健が2012年1月29日 08:34に書いたブログ記事です。

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