メディアと官僚と政治家と支那に騙されない経済学

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 支那の通貨戦略を説明します。
 前回、支那のインフレ抑制策の話をしました。支那の國民経済はなんとGDP比40%弱しかありません。学生時代、計量経済学を専攻していました(あまりよい学生ではありませんでしたが)。その時、いろいろな國のGDPに占める國民経済の比率を調べました。どんな経済体制を敷いていても、國民経済はGDPの約60%であったことにびっくりしました(アメリカは70%以上)。國民経済を豊かにすれば國は潤うということです。

 支那のGDP比40%以下の國民経済は異常です。そんな体制の中で、インフレが起きたら暴動になります(もうなっていますが)。支那共産党はインフレを極度に嫌います。

 支那は、2005年7月に、管理フロート制(管理変動相場制)へ移行し、同時に通貨バスケット制を導入しました。

 通貨バスケット制とは、ドルやユーロ、円といった複数の主要通貨で構成する「バスケット(かご)」に自國通貨を連動させる制度です。貿易など自國との関係の深さに応じて通貨ごとの比重を決めて、バスケットを作ります。組み入れられた各通貨の強弱が相場の動きを相殺するため、ドルなど単一通貨に連動させるより為替相場は安定します。

 それ以降、極めて小幅で段階的な元切り上げが実施されました。2005年7月~2007年5月までの約二年間で一ドル8.11元から一ドル6.83元まで元高にしています。

 日本はプラザ合意の時(1985年)に、アメリカの要請で大幅な円高を受け入れました。日本の製造業は円高不況に苦しみました。支那はそうした日本の状況をよく研究しています。日本には、それでもその円高を乗り切る潜在的な経済力がありましたが、低品質の製造業の輸出だけに依存している支那で、日本のようになれば経済は崩壊してしまいます。支那で経済が崩壊する=共産党の終焉です。ここに支那の弱みがあるとしたら、共産主義撲滅のための我が國の対支那戦略は自ずと決まります。兵は詭道なりです。

 そこで、日々0.3%という極めて小幅な変動を受け入れることで、アメリカを筆頭とした貿易相手國から相対的な元高水準へのプレッシャーをかわしながら自國経済を守るという手段をとりました。

 大気汚染、水質汚濁、世界の90%の伝染病発祥の地という内國政策は出鱈目な國ですが、対外戦略はたいしたものです。

 これを通貨戦略といいます。G20でかろうじて批判をかわした日本とは大きな違いです。メディアはもっと自國を報道で守ってほしいものです。

 さて、この時期、世界的には新興國の経済成長とアメリカの住宅バブルが重なって、食料品や資源価格が高騰しました。WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト:原油価格の指標の一つであるニューヨーク原油価格相場)がなんと147ドル/バーレルをつけました。人民元の切り上げがなされていなかったら、支那はインフレ率が大幅に上昇していたはずです。

 その後の支那の通貨戦略は次回へつづきます。國際政治経済バランスとはこういうものです。

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このページは、宝徳 健が2013年2月20日 04:35に書いたブログ記事です。

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