百人一首 九十三

| コメント(0) | トラックバック(0)
世の中は つねにもがもな 渚こく 海士(あま)の小舟の 綱手(つなで)かなしも

 鎌倉右大臣の歌です。

「世の中は常に變はらないでほしいののだなぁ。渚を漕いでゐく漁師の小舟の引き綱を引く様子は、趣深く心がひかれることだ」
 和歌の名手源実朝の歌です。頼朝は、跡継ぎをどんどん殺しましたから、頼朝系統の將軍は長く續きませんでした。

 あの、和歌に厳しい正岡子規でさえ、実朝の歌は絶賛してゐます。自由で素直な獨自の歌風を打ち立ててゐます。

 のどかな海の風景を詠んでゐます。そこに実朝は「變はることのない」おだやかな日常の大切さをしみじみ感じ、歌にしてゐます。鎌倉將軍 源家として最後の將軍として、激動の日々に身を置いてゐた実朝の正直な心情なのでせう。

 「今、この時」なのですね。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.soepark.jp/mot/mt/mt-tb.cgi/5555

コメントする

月別 アーカイブ

Powered by Movable Type 4.261

このブログ記事について

このページは、宝徳 健が2014年8月 9日 03:28に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「拉致事件はなぜ起きたか(皇紀弐千六百七十四年八月七日の日誌)」です。

次のブログ記事は「禍福榮辱」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。