アベリーンパラドックス

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   ある心理学者が妻の実家での出来事から考え出された仮説です。合意していないことに合意するふりをすることが、個人にとっても、企業にとっても、人生や組 織を崩壊に導く恐ろしい所業であるというもので、行きたくもないアベリーンの町にはっきりと意見を言わないがために行くはめになったことから、「アベリー ンの逆説(パラドックス)」とか「アベリーンへの道」などと呼ばれています。
 よく企業に起こりえることですが、上司はほとんどこれに気づかず、不成功の道を歩んでいきます。
   事例として、結婚したくないのに結婚してしまった男女の話し。ピーナツからジェット燃料を作ろうとしてプロジェクトを立ち上げた会社の話し。米国ニ クソン大統領のウォーターゲート事件などが挙げられています。

 私もコンサルティングをしていてよくこのシーンに出会うことがあります。研修や会議の席で、合意に至ったものの、ほんとうはほぼ全員が終わってい ないことがあります。そのときは、事業を進めていく際に、スタッフが動きません。合意したのに動かない理由を聞くと、「あの時は、ハイというしかありませ んでした」と答えます。これはスタッフが悪いのではありません。たぶんに経営者の意思決定フローのつくりかたに問題があります。

 また、プロジェクトで提案がなされたとき、反対意見がひとつもない場合は、その案件は大方失敗します。これもアベリーンへの道を歩んでいることに なります。

 批判・非難が横行している組織に出やすい傾向で、交流分析のゲーム分析にも似たものです。スタッフが言うことを聞かないからといって、指示命令を 強くすると、自主性がなくなります。そして、このような言葉がでてきます。「言ったはずだ」「教えたはずだ」。これをハズ管理といい、上司として最も「ハ ズかしい」管理と言われています。

 人を動かすとはそういうものではないことはわかっていても、マネジメントは難しいと考えていますが、ひとつだけマネジメントの真理があります。上 司自らが「変革する」努力をしなければ、部下は決して変わらないということです。

 批判・非難を交流分析では、ディスカウント(値引き)といいます。人間を値引きしたくはないものです。

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このページは、宝徳 健が2006年2月 2日 21:27に書いたブログ記事です。

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