量的緩和政策の解除

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   経済環境の変化ですので、コンサルティングの部門に入るのでしょうか?経済環境は、経営にとってとても重要な外部環境です。特に今回のような金利に関することについては。
 ただ、今回の日本銀行(以下日銀)の量的緩和政策の解除はすぐには影響はでないと思います(あくまでも予測です)。なぜなら、各金融機関の日銀当座預金残高なんて誰も使ってなかったんですもの。精神安定剤みたいなもの?
 ただ、金利等の基本的な枠組みを知らなければ、なんでニュースで騒いでいるかわからない人が多いと思うので、かんた~んに解説しておきます。世界一わかりやすい金融政策のはじまりはじまり。
  

1.まずはお金の仕組み
 お金ってすごく便利なんです。まず、モノの価値が客観的に測れますよね。ある人にとって、1億円出してもいいくらい貴重な本があるとします。でも、それはある人にとっては二束三文。だから、その本に価値のあるとおもっている人が、それを吉野家に持っていって、これで牛丼(今はお休み中ですがわかりやすため)食べさせてくださいって言っても、食べさせてくれません。でも、お金だと、それが可能です。
 また、価値がとても安定しています。株券は今日1000円でも、明日1000円である保証がないことはライブドア事件を見ても明らかです。でも、よほどのインフレーションでもない限り貨幣の場合、100円は明日も100円です。
 さらに、物の値段を客観的に判断することが可能です。
 お金ってこれらのほんと~に便利な機能を持っているのですが、こんな便利なお金を人々が手放す基準が金利です。この金利は市場(マーケット)で決まります。また、金利がなければお金が動かず、銀行・企業・人々はお金を手に入れることが出来ません。また、お金が動かなければ経済は活性化しません(この仕組みはまたいつか)。
 だから、こ~んな便利なお金を手放す価値である利子が0であること自体が異常な経済環境なのです。日本が今後国として生き残るためには、消費主導の経済に転換していくことが必須条件ですが、まだまだ、国民の反発もあり(消費税みんな反対しましたよね)、企業主導の経済なので、金利を上昇させると企業の収支を圧迫してしまいます。さらに、800兆円の政務を抱えている政府としても、金利は安い方がいいのです。

2.0金利政策って?
 「何がゼロよ~、私たちがお金借りたら金利かかるじゃん?」って思ってらっしゃいますよね。私たちがお金と接する市場のことをオープン市場といいます。もうひとつ(本当はもっとありますがわかりやすいため)、銀行同士が余ったり足りなかったりしたお金を融通しあうインターバンク市場というものがあります。この銀行間の貸し借りの短期金利(無担保コール翌日物金利といいます)を0にしようねって決めているのが0金利政策です。つまり、融通しやすくなるってことです。ただ、銀行が不良債権であえいでいましたから、金利を0にしても、不良債権の処理をしたいがために、お金が動かなかったのです。先ほども申し上げましたが、結果的にお金が動かなければ経済は活性化しません。だから、強制的にでも、お金を動かせるぐらいジャブジャブにしてしまえ。銀行が資金繰りに困らないようにしてしまえ。というものが「量的→お金をジャブジャブに」「緩和→することを日銀が保証するぞ」という政策だったのです。では、どうやって?

3.量的緩和
 このインターバンク市場での取引のために、銀行は、日銀にそれぞれ当座預金を持っていて、そこにお金を預けています。だいたいこの残高は6兆円くらいあると足りるのですが、日銀が銀行から手形やら国債やらを無理やり買い取って、25兆円とか30兆円にしてしまいました。な~んのお金の心配も要りません。しかも金利は0。ものすごい金融政策です。それほどまでに日本の経済は病んでいました。これ聞くとちょっと銀行に頭きますよね。貸し出しのからくりしったらもっと頭きますけど。それはまた別の機会に。まあ、そういうことなんですが、もともと必要ないものですから、あまり使われませんでした。だから、今回の量的緩和政策の解除自体はすぐにはそんなに影響はありません。精神安定剤がすこしだけ切れた感じです。

4.なぜあんなにみんな騒ぐか
 金利の上昇が怖いのです。特に、政府は先ほど申し上げた800兆円にも上る債務の支払い金利が膨大になることと、せっかく回復した景気に水をさすと、政策運営もうまくいかなくなることから反対したくてたまりません。でも、今回は政府はちょっと口を出しすぎです。金融政策は日銀の専権事項にしないと、日本は三流国になります。
 また、今回の量的緩和政策の解除の中で、国債をある一定額(月額1兆2000億円)継続して購入するというものがありました。国債というものは債券です。債券価格が低下すると金利はどんどん上昇してきます(特に長期金利:この仕組みについては、以前のこのブログの記事をお読みください)。これまで、日銀が銀行やらから国債を買っていたので、国債価格が低下せず、金利の上昇を抑えることができました。この長期金利をコントロールできるかどうかが、今後の日銀の政策の大きな鍵となり、また、日本経済を左右するポイントとなります。お金に価値があるのに、金利を低くするとバブルを誘発したり、ファンドの餌食になります。量的緩和政策の解除なんて、たいしたことありません。今後の福井総裁の金利の舵取りがものすごく難しいことになります。そういう意味では、消費者物価指数0から2%を物価安定の目安として自らの政策に足かせをはめてしまったのは金融政策上とてもまずいことです。臨機応変な対応ができなくなります。マスコミはこぞって評価していますが。危険です。

4.金利が上がりすぎるのはどうかと思いますが。金融政策上、金利が存在しないなどということが異常であることをご理解ください。また、消費社会においては、金利は収入となります(オープンマーケットにおいて)。景気が回復したと浮かれている人が多いのですが、この異常な事態を残したまま景気回復を叫んでもだめだと思います。私たち国民一人ひとりが、正常な経済状態を取り戻すためにしっかりとした知識と判断をもつ時期に来ています。そのためのご参考になれば。

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このページは、宝徳 健が2006年3月11日 14:52に書いたブログ記事です。

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