どの本よりもわかりやすい古事記

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   第五回目です。これから、日本の国がどこを中心に出来上がり、どんな産業が発展し、どのような慣習が出来てきたかが表現されるようになります。
   スサノオは天上界で暴れたことの罪を問われ、たくさんの貢物を納めるように言いつけられ、髪を切 られ、爪をはがされて天上界を追放になりました。天上界つまり高天原を追放されたスサノオは、出雲の国に天降りました。そこは、人影ひとつない大自然の 真っ只中です。なんとなくさびしい気分になっているとき、ふと見ると、川上から木を削ってつくった箸が流れてくるのに気づきました。 ス(スサノオ)「人 が住んでいる!! 川上に」(前回の関西弁バージョンは評判悪かったのでやめます)。 さびしくて仕方がなかったスサノオは川上に走り出します。どんどん 自然の中を駆けていくと、向こうの方に人影がありました。

 しかし、その人影が声をふるわせて泣いているではありませんか。おじいさんとおば あさんと娘さんが泣き悲しんでいたのです。スサノオは放っておけなくなり、ス「いったいあなた方は、どなたですか?」と聞きました。おじいさん(以下、 じ)「私はこの土地の国つ神(天照やスサノオは天つ神(あまつかみ))でした、アシナツジといいます。これは、妻と娘です。娘の名前はクシナダヒメと言い ます」。 ス「なんでそんなに嘆いているのか?」じ「はい、もともと私どもには八人の娘がいました。ところがヤマタノオロチが毎年やってきて娘を食べて、 とうとう8人目の娘がもうすぐ食べられてしまうのです」 ス「そのヤマタノオロチとは何者だ?」 じ「はい、目は赤いホオズキのようで、からだはひとつな んですが、頭が八つ、尾が八つという化け物です。大きな大きな怪物で、八つの谷と丘にわたっています。その怪物が今年もここにやってきます。そして、娘 を・・・・」

 こんなかわいい娘をヤマタノオロチなどに食わせてなるものかと考えたスサノオは、おじいさんに向かって ス「その娘を私にくれないか(いきなりな にいうねん)」と申し込みました。 じ「は・はい、あなたさまは・・・?」 ス「私は天照の弟、天上界から降りてきたところだ」 じ「そんな高貴な方でし たか。よろこんで娘を差し上げます」 ス「では、私がそのヤマタノオロチを退治しよう」

 娘のクシナダヒメを櫛に変えて自分の髪に刺し、おじいさんには、大きな船に強いお酒が入った甕を八つ用意するように命じました。

 そして、準備が整いまっているとヤマタノオロチがやってきました。それはそれは大きい、そして恐ろしい怪物です。「娘はどこだ~」。そして、酒の 入った甕に気づき飲み始めました。ヤマタノオロチは酔っ払い眠ってしまいました。 ス「しめた、酔いつぶれたぞ」とばかりに、ヤマタノオロチの首をひとつ またひとつと切り落としていきます。流される血のために、川は真っ赤に染まってしまいました。さらに尾を切り落としていくと、8つの尾の中のひとつに、カ チっと手ごたえがあるとともに、刀の刃が欠けました。ス「なんだろう?」 その尾を立てに切り裂くと丈夫な刀が入っていました。それを取り出し、天照大神 様に報告しました。これが三種の神器のひとつ「草薙の剣(くさなぎのつるぎ)」です。これは、熱田神宮に祀られているとされていますが、源平の壇ノ浦の戦 いのときに、平清盛の妻、二位の尼が、安徳天皇とともに抱いて海に沈んでしまったと言われています。

 ヤマタノオロチを退治したスサノオはクシナダヒメと結婚して出雲に住みます。そのときに、詠んだ日本最古の和歌が「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠み に(つまごみに) 八重垣つくる その八重垣を」です。八雲立つは、出雲の枕詞。意味は、かわいい妻を娶って、誰にも合わせたくないくらい大切にしたいの で、垣根をたくさんつくって大切にするぞ、って言う意味です。出雲にはこれにちなんだ八重垣神社という縁結びの神さんがあります。

 ここからは所感です。中国山地には鉄が産出されます。そして、大きな川が毎年氾濫していて、その土地の人は、氾濫を神の怒りと思い、毎年人身御供 (ひとみごくう)として人柱(犠牲者)を出していました。 古代中国でもそうですが、治水というものは支配者のひとつの条件で、スサノオはその地域の治水 を行い、川の氾濫をおさえたのだと創造します。この川の氾濫がヤマタノオロチだったのでしょう。そして、当時武力として非常に大切な鉄を手に入れました。 治水を行ったことで鉄を手に入れたことを示しているのではないでしょうか? 川が赤くなったという記述は鉄の赤さが出ているのでしょう。(私の私見ですか ら無視してください)。

 次回は、いよいよ因幡の白兎の話です。楽しみにね~。

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このページは、宝徳 健が2006年4月 9日 22:25に書いたブログ記事です。

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