どの本よりわかりやすいギリシャ神話:太陽神アポロンとダフネの恋

| コメント(0) | トラックバック(0)
  昨日の、アフロディテ(ローマ神話ではビーナス)とアドニスの話、面白かったでしょう~。ギリシャ神話って、とても人間くさいですよね。セックス、嫉妬など、恰好つけずにそのまま書かれているところが好きです。
 さてさて、アフロディテとアドニスの恋など、最初からあってはならない実らないものだったのです。でも、それは、永遠に年をとらないアフロディテの息子 エロス(ローマ神話ではキューピット)の矢の仕業だったのです。実の母親でさえ、エロスの矢で恋をしてしまうのですから、いろんな事件を起しています。そ のひとつに、太陽神アポロンとダフネの恋があります。これも報われません。何がキューピットだい!
  ある日のこと、オリンポスの山のあるところで、アポロンとエロスが出会いました。アポロンは戦いの神様です。それも、弓では誰にも負けません。アポ ロンはエロスがちっぽけな弓を持っているのをみてからかいたくなりました。アポロン(以下、ア)「なんだ、こいつ、ちびのくせに、いっぱしに弓なんかもっ てやがる。そんなんで、何が射れるんだい(笑)」 
エロス(以下、エ)「おっちゃん、僕の弓はそんなんじゃないんだよ。僕の弓にかかったら、おっちゃんだっていちころだよ」
ア「ふん、そんなおもちゃの弓矢にあたっても、なんともなるわけないじゃないか」
エ「気をつけてね、油断しているときに打ち込むから」
ア「いいぜ~」

 アポロンの方は、すぐに忘れましたが、エロスはよく覚えていました(いじめた方は、忘れますが、いじめられた方は覚えているものです)。家に戻る と、背中から二本の矢を取り出しました。一本は金の矢。もう一本は鉛の矢です。金の矢に当たった者は、恋にこがれ、鉛の矢に当たった者は、どう愛されても 相手のことを絶対に好きになれません。

 エロスは、金の矢をアポロンに、鉛の矢をダフネに打ち込みました。ダフネは、河の神 ペーネイオスの娘で、とても美しく、求婚者も何人もいます。でも、まだ、恋に興味がなく、結婚する意志はありません。

 アポロンは、金の矢を射られたことから、ダフネに激しい恋をします。目覚めているときは、日がなダフネの姿を追い求め、夜になれば、夢の中にダフネの姿が浮かび上がります。

 もう、我慢ならず、道で待ち伏せをして、ダフネに声を掛けますが、ダフネは逃げ出してしまいます。神々の中でも、際立って凛々しいアポロンも、ダ フネの目には、ただのおじさんにしか映らなかったのです。でも、冷たくされればされるほど燃え上がるのが恋。アポロンは決心をしました。

ア「ダフネよ。振り返ってよく見るがよい。私はオリンポスの神々の一人、大勢の娘たちに慕われている、あのアポロンなのだ。けっしてお前に危害を加えるつもりはない。どうしてそんなに私を嫌うのだ。まるで狼を恐れているように」
ダフネ(以下、ダ)「・・・・・」(その瞬間にダッシュで逃げ出す)
ア「待ってくれ、どうしてそんなに私を嫌うんだ。私はアポロンだ。竪琴を弾いては、並ぶものなし。歌声は妖精の心もとかす。悪しき病から人々を救う。お前の愛を求めている私の姿をよくみてくれ」
 それでもダフネは逃げます。逃げる姿がまた美しい。

 逃げるダフネ、追うアポロン。でも、少女の足は、神の足にはかないません。ついに追いつきました。
ダフネが叫びます。「お父様、助けて。私は、いつまでも清らかな体でいたいの。たといどのような物に姿を変えても」

 父である、河の神 ペーネイオスは、この願いを聞きました。ダフネの叫びが終わるとき、彼女のからだに激しいしびれが・・・。
 全身の肌が急速にこわばり、褐色の粗い樹皮となりました。風にたなびいていた髪は、たちまち緑の葉となり、天に向かって差し伸べられた腕は、そのまま木の枝となりました。あれほど速く走っていた脚は、大地に張り付き地中にめり込んで根をはりました。

 アポロンは愕然とします。彼が捕らえ、抱き寄せたものは、一瞬にしてダフネから変わった月桂樹でした。ア「なんたることか」。三日三晩、アポロンは月桂樹の下で泣き続けました。

 でも、ダフネはよみがえりません。アポロンは、月桂樹の枝を切り、それを輪にして冠をつくりました。
ア「愛するダフネよ。お前は私の妻になってくれなかったね。だが、私はお前のことは忘れられない。其の愛の証にこうしてお前の枝で冠を作り、いつまでも私 のそばに置いておく。そればかりではない。戦場で、あるいは競技場で、すばらしい勲をたてた若者には、きっとこのお前の枝を与えて頭に飾らせよう」

 今でも、オリンピックなどで、勝者の頭に月桂冠が飾られますが、それはこの故事から来ています。

 ねっ、面白いでしょ?次回も楽しみにしてくださいね。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.soepark.jp/mot/mt/mt-tb.cgi/1481

コメントする

月別 アーカイブ

Powered by Movable Type 4.261

このブログ記事について

このページは、宝徳 健が2006年12月31日 05:53に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「どの本よりわかりやすいギリシャ神話:美少年アドニス」です。

次のブログ記事は「経営者必見!六韜三略:文韜」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。