経営者必見!六韜三略:竜韜

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  今日から、「竜韜の巻」です。将たる者は軍権を付与されて戦場に赴いていきます。店舗を任されたマネジャー・店長と同じですね。その責任たるや、まことに重い。だから、将の選任にあたっては、よく人物を見極める必要があります。一方、将たる者は、いったん任命されたら、軍令を貫徹して威信を確立するとともに、組織を掌握して兵士のやる気を引き出さなければなりません。そして、朝廷(本社)との連絡を密にしながら、よく敵情を探索して状況に応じた戦い方を心がけることが大切です。つまりは、有利と見たら戦い、不利と見たら退くことです。
  竜韜の巻の最初「王翼篇」です。股肱(ここう)や羽翼(うよく)の大切さです。昔の中国は、いったん有事の際は、将軍を任命して軍を編成し、それから軍事行動に乗り出すことが一般的でした。その際、将軍は作戦指揮について全権を付与されます。それだけ将軍の責任は重いことになります。その責任を一人ではなかなか果たせないので、将軍を補佐する股肱や羽翼が必要になります。
 この王翼篇では、その役割を18の担当に分けています。彼らの強力がなければ、どんな名将でも、与えられた任務を遂行することができません。逆に言えば、適材適所に彼らを任命して、持てる能力を存分に発揮されることが、将軍の大きな仕事になるのでしょう。
 現在の中小企業で、18もの役割に人をはりつけるわけには行きませんが、少数でその役割を担う、「職務分掌」なのでしょう。経営を戦略(競争)ととらえるならば、ものすごく参考になる事項です。

武王(以下、武)「軍を統率するには、必ず股肱や羽翼となってくれる者がいて、はじめて王者としての威力発揮することができるというが、それにはどうすればよいのか」

太公望(以下、太)「軍を動かすときには、すべての責任が将たる者の肩にかかってきます。ですから、将たる者は、あらゆることに熟達して臨機応変に対応しなければなりません。能力に応じて部下を任用し、そのそれの長所を発揮するようにしむけ、その時々の情勢に応じて変化することが肝心です。そのため、股肱や羽翼を七十二人置いて、天の七十二節気と対応させているのです。この天道に則って員数をそろえ、天の理法をよくわきまえて才能の異なる人間を採用すれば、万全の態勢を整えることができます」

武「その七十二人について、もう少し詳しく教えて欲しい」

太「まず「腹心」を一人置きます。これは戦略計画の策定を助けて突発事態に備え、天象をはかって異変を解消し、作戦を統括して国力の保全にあたる者です。
 次に「謀士」を5人置きます。これは情勢の掌握につとめて安全を確保し、各人の成績を査定し、賞罰を明らかにして官位を授け、疑問を解決して可否の決定に当たる者です。
 次に、「天文担当」を三人置きます。これは星の動きや風向きを観測し、時日や吉凶、災異を占って、天がどちらに味方するかを察知する係りです。
 次に、「地理担当」を三人置きます。これは行軍や駐屯に際して、地形のよしあし、行程や険阻、山や川についての情報を収集し、地の利を失わないようにする係りです。
 次に、「兵法担当」を九人置きます。これは彼我の情勢や戦いの帰趨を分析、兵器を選定し、違法行為を取り締まる係りです。
 次に、「食料担当」を四人置きます。これは食料の必要な量をはかって備蓄すると共に、輸送路を確保して補給を絶やさないようにし、全軍の食料を欠乏させないのが役目です。
 次に「奮威」を四人置きます。これは勇敢な兵士を選抜し、武器、装備を整えて、奇襲部隊を編成する役目です。疾風のように襲撃するので、敵に気づかれることはありません。
 次に、「伏旗鼓(ふくきこ)」を三人置きます。これは旗や鼓をかくし、にせの割賦や号令を使って、敵陣に潜入し、敵情を探索する役目です。闇にまぎれて動くので、その行動はまさに神出鬼没なのです。
 次に、股肱を四人置きます。これは、重要かつ困難な任務に当たるもので、もっぱら彫りや城壁の工事を督励して、守りの面で万全の態勢を整える役目です。
 次に、「通才」を二人置きます。これは、君主のかけた点や過った点を補い、外国の施設を交渉にあたり、議論を戦わせて紛争の解決をはかる役目です。
 次に、権士を三人置きます。これは奇計を使い、権謀を駆使し、人目につかない所で変幻自在な策を講じる役目です。
 次に、「耳目」を七人置きます。これは足で歩いて世間の風説を聞き、動向を観察し、外国の動きや味方陣内の情報を集める役目です。
 次に、「爪牙(そうが)」を五人置きます。この役目は、全軍を督励して士気を高め、いかなる困難にもたじろがず、勇敢に戦わせることにあります。
 次に、『羽翼」を四人置きます。これは。わが軍の勇名を喧伝し、四隣はもとより、遠方の国々まで震え上がらせて、敵の闘志を弱めるのが役目です。
 次に、「遊士」を八人置きます。此れは、敵側の人間を買収して、機会をうかがったり、デマをばらまいて人心を動揺させたり、敵の動向をさぐったり、諜報活動にあたります。
 次に、「術士」をふたり置きます。これは、あやしげな術を使ったり、神のお告げなどといつわって、敵の人心を惑わす役目です。
 次の、「方士」を三人置きます。これは、薬をそねえて傷の手当をし、万病の治療に当たる者どもです。
 おしまいに、「法算」をふたり置きます。これは、布陣や軍量の費用など、収支の会計にあたります。」

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このページは、宝徳 健が2007年3月26日 05:03に書いたブログ記事です。

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