戦国策

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 さて、趙王は、虞卿(ぐけい)の話を聞いて、またまた楼緩(ろうかん)と話をします。リーダーが意思決定しないことを無定見と言います。
楼緩はいいます。

「虞卿は一を知って二を知りません。秦と趙が事を構えれば喜ぶのは他の諸侯です。なぜでしょうか。強い者と一緒になって弱い者をいじめるチャンスだからです。いま趙は秦を相手に苦戦しています。そして諸侯はみな秦の勝利を願っています。こうなると、土地を与えて秦と講和するのが早道です。秦は気持ちがおさまり、諸侯はとまどいます。このままでは、諸侯は真の怒りを利用し、趙の疲れにつけこんで、趙を分割してしまいます。滅亡寸前の趙が秦を攻めるといっても土台無理な話。どうか私の作を採用して断をお下しください」

 王は、またまた、虞卿と話をします。

 実は、楼緩も虞卿とも正しいのです。楼緩は練横(れんこう)論と言って、強いものと組む作戦を趙王に説いています。虞卿は、合縦(がっしょう)論と言って、一番強い国に対して、その他のものが連合して相対するというものです。
 これは戦略論で、どちらでもいいのです。要はリーダーの決断がないだけです。意志決定というのは、いくつかある選択肢からひとつだけを選び出すことです。これを戦略といいます。別の角度から言うと、意思決定とは、ひとつだけの選択肢を選び出すときに、他の選択肢を切り捨てるという厳しさを意味します。だから、リーダーにはリスクと責任があります。リーダーの仕事とはこの一点です。趙王のリーダーシップのなさが目立ちますね。




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このページは、宝徳 健が2009年12月25日 08:15に書いたブログ記事です。

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