怨霊

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 さあ、歴史を大好きになるシリーズの第二弾です。
「本日ただいまより、母はなき者と心得よ」

 常磐御前は、幼い牛若を鞍馬寺に預けるときにそう告げた。

「母上・・・」

 常盤は、後ろ髪を惹かれる思いではあったが、ここで振り向いてしまっては未練が残る。牛若のためにもここは心を鬼にしなければと思い、足早にすぎさった。

「母上~!!!」

 幼い牛若は、いったい何がどうなっているか、皆目検討がつかなかった。はっきりとしている事実は、大好きな母と別れ、今からこの寺で生活しなければならないということだけであった。寺の生活など、幼い牛若には想像も出来ない。きっと厳しいものであるだろうなあ・・・・・。

 常盤は家に戻った。その家は清盛から与えられている。ニ夫にまみえるという、女にとっての最大の屈辱を味わったが、これもすべて、わが子を助けるための女としての武器を最大限に活用するという常盤の覚悟であった。

 今若、乙若という二人の牛若の兄も、すでに寺に入れてある。それというのもすべて・・・。

*******

「常盤、子らを頼んだぞ」

 清盛に敗れた源義朝(よしとも)は、別れ際に常磐御前に告げた。

 東国に逃れ再起を果たそうとした義朝も尾張の国で部下の裏切りに合い殺されたという。

 なんとか子らだけは助けないと・・・。その強い思いだけが、常盤の心から、清盛に身を投げ出し、毎夜のように抱かれるという、二夫にまみえる屈辱から救うのであった。 つづく

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このページは、宝徳 健が2011年3月 5日 10:38に書いたブログ記事です。

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