食料自給率のうそ

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 国の施策に「農商工連携」とか「6次産業化」とかがあります。6次産業ってわかります? 農業を活性化しようとして、1次産業、2次産業、3次産業を掛け合わせて6次産業ですって。農林水産省の考えそうなことです。日本の農業政策は、まったくだめです。あんなチマチマやっていたら、絶対に農業の生産性は向上しません。

 それと、農林水産省が自給率向上キャンペーンをやるときに、使っている「カロリーベース自給率」というのが、これまたこっけいなのですね。国民を騙すなっつうの。世界のどの国も、どの役所もこんな指標は使っていません。

 私は最近、この農商工連携というものを勉強し始めています。商業と工業の力を使って、なんとか、農業のGDP比率を高められないかなと考えているからです。それと息子が大学の農学部に入学したので、少しでも話が合うといいなと思ったこともあります。

 奥が深い分野ですね。でも、こういうことを知らないと、「自給率」という言葉さえ、官僚に騙されてしまいます。低いとか高いとかではなく、官僚の都合の指標を丸呑みにしてしまう危険性があるということです。

 カロリーベースの食料自給率は以下のように計算されます。

国民一人一日当たりの国産カロリー÷国民一人一日当たりの供給カロリー×100(%)

 「国産カロリー」の中には、なんと、輸入飼料で育てられた畜産物は含まれていません。日本で生まれて、日本で育った牛や豚でも、外国産飼料で育ったら、「外国産」として計算されて、分子が小さくなってしまいます。外国産飼料で育てられた鶏が産んだ卵も外国産になってしまっています。笑ってしまいますね。 日本の飼料自給率は25%ですから、ほとんどの国内の畜産物は外国産として計算されています。アホかいな。

 また、分母の「国民一人一日あたりの供給カロリー」もくせものです。流通段階で破棄され、国民の口に入らなかった農産物も、農林水産省はこの中に含めて計算してしまっています。流通に供給されたカロリーのうち、約26%が廃棄されています。

 分母をでかくして、分子を小さくする。当然、値は小さくなりますね。不勉強なマスコミは、それみたことかと、自給率の低さを取り上げます。日本の食料自給率は41%だ!って。

 通常用いられている自給率の計算は生産額ベースです。これで計算すると、約70%だ日本の食料自給率です。官僚とマスコミに騙されるのはやめましょう。

 でも、穀物自給率は生産額ベースでも約28%なのです。これはいけませんね。先進国で穀物自給率が50%を切っているのは日本だけです。食料とは国家安全保障です。国民レベルでしっかりと把握しましょう。

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このページは、宝徳 健が2011年6月20日 00:16に書いたブログ記事です。

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