「つつみ」と「むすび」

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 JR東海の雑誌「ひととき」の記事を紹介しています。今日は、みなさんおなじみの「水引の結び」について。
 祝儀包みの鶴や松などの華やかな水引細工は慶事にふさわしいものです。水引細工自体は、金沢や富山などの北陸から新潟にかけて盛んで、この地方では嫁入り修行のひとつに水引細工を習うこともやられていたそうです。そして、祝儀包みに結ぶ水引細工は、長野県飯田市が産地として知られているそうです。へー。

 飯田市は元々は、髪を結う元結の産地で、これを基盤にして水引細工が興り、その生産は農家の手内職に支えられて現在に至っています。

 その細工は芸術の域に達成していると書かれています。知りませんでした。

 祝儀包みの水引でもっとも大切なことは、「包みをこれで結ぶ」ということです。品物に応じた結びの方法が集大成され、結びが作法として様式化されました。

 万葉集に以下の歌があります。

磐白の 浜松が枝を 引き結び まさきくあらば またかへり見む

二人して 結びし紐を 一人して 吾は解き見じ 直にあふまでは

 最初の歌は、磐白の浜野松の枝を結び合わせてまた帰って来られるように旅の無事を祈る歌です。二番目の歌は、朝、二人で結んだ袴の紐を一人で解くことはしない、また二人で逢うときまでは、という男女の別れです。松の枝に無事の願いを込め、まが袴の紐の結びに二人の恋の誓いをこめているのです。

 いいですね~。和歌は本当に素敵です。こういうやりとりができたら、人間の心は澄むのでしょうね。私たちはこの文化と民族の能力を葬り去ってしまいました。つづく。

 では、拙首です。

祈りにも 別れにもむすぶ その心 大和の国の うるわし心

 正岡子規の「歌よみに与ふる書」を現代語訳しています。

 今まで用いた理屈という言葉は、最も簡単な智を除いていることを意味しているけれど、貴い署は、智と理屈を同一にみなしている。こちらの方がいい。そうすれば、理屈の内でも、レベルの低い理屈、すなわち、最も簡単な智とは記憶を比較していることにとどまり、いかなる純粋文学の感情といえども、多少の記憶力を比較すると文学として十分成り立つ。もし理屈の語を広義にとらえたなら、実朝の歌は、理屈になってしまう。しかし、私が考えるには、これはこれでいいじゃないかと思う。 

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このページは、宝徳 健が2012年4月 5日 06:09に書いたブログ記事です。

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