受益者指定権(民事信託)

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 さて、こんな会話はいかがですか?
A「先生、相続対策で会社の株を長男に贈与しようと思っているのですが」
私「はい、税理士さんに贈与税のことなどよく相談されていますか?」
A「はい」
私「それではいいではないですか?」
A「・・・・・」

私「どうされましたか?」
A「長男はまだ25歳で経営者としての資質があるかどうか一抹の不安があります。それと、私と長男の嫁との関係がよくありません。将来それが原因で、私と長男の関係が悪化しないか心配です」
私「それで?」
A「万が一の場合に、贈与した株を取り戻すなんていう都合のよいことはできないですよね?」

私「贈与をしてしまったら株は長男のものになりますから不可能です。でも、信託を活用すればできますよ」
A「えっ?!?!?!」

私「株式を信託し、受益権を長男にした場合、長男が持つのは所有権ではなく、受益権になります。受益権については、信託行為(信託契約等)で自由な規定をすることが求められていて、いつでも受益権を無償で取り戻すことができる旨の規定を設けることができます。これを受益者指定権等といいます」

A「そうなんですか、信託ってすごいですね。もう少し詳しく教えてください」
私「受益者指定権等とは『受益者を指定し、又はこれを変更する権利』と定義されています。「等」とは、受益者を指定する他に、受益者を変更する権利も有しているという意味です。ですから、今回のケースでは、Aさんが、受益者指定権等を有する旨を信託行為(信託契約等)で定めておけば大丈夫です」
A「はい」

私「Aさんが受益権を贈与した後、長男が経営に向かない場合や、長男との関係が悪化した場合など、Aさんは受益者指定権等を行使して、新しい受益者を指定できます。具体的にはAさんが、受託者に新しい受益者を伝えればすみません。Aさん自身が受託者である場合には、Aさんが新しく受益者になる人に伝えればそれで大丈夫です」

A「よくわかりました。ところで先生、もうひとつ質問があるのですが」  つつく

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このページは、宝徳 健が2012年8月 2日 06:41に書いたブログ記事です。

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