どの本よりわかりやすい旧約聖書

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 心理学に「カイン・コンプレックス」という言葉があります。
 たしか、言ったのはユングという人だったと記憶しています。兄弟が親との関係において、差別的な愛情を受けた場合、それによって苦しんだ原体験は、兄弟以外の関係に当ええいさえれていく(つまり、兄弟と同じ世代の周囲の人間に対しても憎悪を抱く)というものです。

 広く兄弟間の心の葛藤や兄弟姉妹間で抱く競争心や嫉妬心のことを言うときもあります。

 そのカインコンプレックスの「カイン」が、今日出てきます。

 アダムとイブは二人の子供を産みます。兄がカインで弟がアベルです。カインは土を耕し作物を収穫します。アベルは羊を養います。農耕民族と遊牧民族の分業ですね。

 そうだ思い出した。世界的なベストセラーにマクニールの「世界史」があります。世紀の歴史学者トインビーの流れをくむ人がマクニールです。

 十九世紀半ばにダーウィンが進化論を著わしました。これがとんでもないことになります。西欧人は、このダーウィンの進化論を参考に、進化論的に一番発達したのが白人であり、その下に黄色人種、褐色人種、黒人があり、黒人の下はオランウータンであると当時本気で考えました。人種差別の正当性が裏付けされました。

 これをシュペングラーという人がまっこうから否定し、その考え方を徹底的に拡大したのがトインビーです。今の歴史観はこのトインビーが主軸になっています。

 その後トインビーの流れをくむハンティントンが、1996年に「文明の衝突」で、世界には九つの文明があるとし、その中の一つは日本で、日本は支那文化圏ではないとしました。

 次に出てきたのがマクニールで、日本の文明をかなり高く評価しています。

 マクニールは「文明とは分業が行われる複雑な社会」と言っています。

 カインとアベルも文明の証である分業に挑戦しています。でも、これは壊れてしまいます。

 カインは、一生懸命耕しても、その畑にアベルの羊が入ってきて荒らすので、カインと羊が大嫌いでした。農耕民族というのは辛いものです。耕しても自然災害の影響を強く受けたりするので、苦労が水の泡になることもしばしばです。そういうこともあって、カインはますますアベルが嫌いになります。

 さて、収穫物を神に捧げる日が来ました。カインは大地の実りを、アベルは子羊を供えます。

 ところが神は、アベルの貢物には喜びましたが、カインの貢物には目もくれません。カインは面白くありません。怒りを覚えましが、それを神に知られてはいけないので、顔を伏せました。神は「カイン、どうして怒っている。お前が正しいなら顔をあげよ。正しくないなら罪がお前を待っている」というようなことを言います。

 カインはますます面白くなくなります。   つづく。

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このページは、宝徳 健が2012年8月14日 09:10に書いたブログ記事です。

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