信託の倒産隔離機能 その2

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 昨日の続きです。

 昨日のケースで、このオフィスビルの建設資金を融資した銀行がオフィスビルに抵当権を有する場合に、信託の場合は、どうなるのでしょうか?
 信託の場合は、抵当権の実行がA社の倒産によって制約を受けることはありません。でも、委任(業務委託)の場合には、A社の倒産手続きの影響を受ける可能性があります。

 次にB社(信託会社:受託者)またはC社(不動産管理会社)が倒産した場合はどうでしょうか?

 オフィスビルの所有権は、信託の場合はB社に移転しています(信託による所有権の移転)。委任の場合は、A社に属したままです。

 信託法は、受託者が倒産しても原則として信託財産が倒産手続きに服さないものと定めています。したがって、オフィスビルについては、信託と委任との間で、本質的な違いはありません。さらに信託の場合、B社が保管している敷金や賃料も、B社自身の財産と分別管理されているのでB社の倒産手続きには服しません。信託の最大の機能は、この「分別管理機能」なのです。

 A社は、B社が解散しないのであればそのまま信託を継続させることもできますし、受託者であるB社を変更することもできます。その場合には、敷金や賃料は戻ってきます。

 これに対し委任の場合C社が受け取っていた敷金や賃料は、それがたとえ専用の預金口座で管理されていたとしても、C社の倒産鐡気づきでC社の一般債権者に対して平等に分配されてしまいます。

 これが信託の倒産隔離機能と呼ばれるものです。

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このページは、宝徳 健が2012年9月30日 06:23に書いたブログ記事です。

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