メディアと官僚と政治家に騙されない経済学

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 さて、少し経済学のお勉強をしましょう。この構図を知っておくと、メディアに騙されるようなことはありません。覚えなくても結構です。何かメディアがおかしなことを言ったら、このブログを読み返してください。構図だけ「はっは~、そんなものか~」と思っていただいたら良いのです。
経常収支の内訳は前々回述べました。振り返りながら国際収支はどのようなものか見ていきましょう。

<国際収支>
①経常収支
 ☆所得収支
  海外への投資が生み出す配当金や利息の受け取り
 ☆貿易収支
  輸出と輸入の差
 ☆経常移転収支
  対価の伴わない開発途上国への経済援助や国際機関への拠出金など
 ☆サービス収支
  海外旅行をしたり、その先でする買い物や食事に使われたお金

②資本収支:お金のやり取り
 日本人が外国銀行にお金を預けるとマイナス、外国からお金を借りるとプラス

③外貨準備増減
 日本国政府としてのお金の取引

④誤差脱漏
 誤差の調整

 これは覚えていただきたいのですが、国際収支の基本的な考え方は、日本からが以外へお金が出ていけばマイナス、入ってくればプラスということです。

 国際収支では①~④の合計は常に0となります。経常収支で黒字になったら、余ったお金はお金が不足している国へ貸しますので、資本収支がマイナスになります。

 さて、2010年と2011年のこの国際収支を比較してみましょう。

(単位:億円)      2010    2011
経常収支        178,879    95,507
  貿易収支       79,789  ▲16,165
  サービス収支   ▲14,143  ▲17,616
  所得収支      124,149   140,384
  経常移転収支   ▲10,917   ▲11,096
資本収支       ▲119,977    65,659
外貨準備増減     ▲37,925  ▲137,897
誤差脱漏        ▲20,977  ▲20,269

 数字なんか覚えなくていいですよ。メディアが何をしたか。朝日新聞が何を言ったか、NHKニュース9の大越健介が何を言ったか。

 経常収支の黒字が大幅に減っていること(それも貿易収支を特に取り上げて)だけを取り上げたのです。GDP約500兆円弱の日本において、貿易収支の赤字1兆6,165円を大騒ぎしたのです。日本は貿易立国なので、貿易収支がおかしくなったら、もうだめだ~と言いました。馬鹿です。

 東北地方・太平洋沖地震の影響です。

 それに、国家経済というのは、成熟していくと、貿易収支よりも所得収支が大きくなります。つまり、海外に投資したお金による益金です。不労所得ですね。あのアメリカでさえ、経常収支は大幅に赤字なのですが、所得収支はプラスになっています。

 この国際収支の構図及び先進国の所得収支の意味、そして、日本の経済構図(貿易立国ではない)を知っていれば、朝日新聞や大越健介に騙されることはありません。

 また、2011年はたまたま東北地方・太平洋沖地震で貿易収支が赤字になりましたが、日本は、貿易収支と所得収支の両方で稼ぐことができる、理想的な国家であるという事実も忘れてはなりません。つまり世界のみんなが日本の製品を欲しがり(貿易収支の黒字)、なおかつ世界のみんなが日本のお金を欲しがる(所得収支の黒字)という稀有な国なのです。

 世界一のお金持ち日本。その国の財政が破たんする??? だから消費税と社会保障の一体改革をする? 財政規律が必要???  私にはまったく理解ができません。みなさんは理解できますか?

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このページは、宝徳 健が2012年12月 1日 06:35に書いたブログ記事です。

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