どの本よりわかりやすい源氏物語 超初級篇

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 今日から「松風」の章です。

 ある年の秋、二条の院(光源氏の中級での住まい)の東(ひんがし)の院が完成しました。光源氏は、まず花散里をその西側に迎えました。東側には明石の君を迎える予定です。光源氏は、これまで契りあった女性たちをみんな迎えるつもりです。

 光源氏は明石の君に文を送り、しきりに上京を促しますが、身の程をわきまえた明石の君は、上京後の気苦労を思うと、なかなか決心がつきません。さりとて、子供(姫)の行く末を思えば、このまま明石に埋もれるわけにはいきません。明石の入道夫妻は、あれこれと思案の末、都に近い川のほとりにある山荘を修理して、まずはそこに住まわせることにしました。

 光源氏はこの知らせを聞いて喜びました。何よりも、慎ましい明石の君の心根がいじらしく、またこの山荘は、今建立中の寺から目と鼻の先です。さっそく山荘の調度万端を整えてひそかに明石へ迎えの人数を遣わしました。

 いよいよ状況となると、さすがに住み慣れた明石の浦も捨てがたく、ただ一人残る父の入道の身も案じられます。明石の入道は言います。「これが今生の別れになろうが、私が死んだと聞いても法要などはいらぬ。私はこれから姫君の行く末を祈ろう」。

 母がついてきてくれることになった明石の君の一行は、霧深い浦辺を船で旅立ちました。

いくかへり 行きかふ秋を 過しつつ 浮き木に乗りて われ帰るらむ

 長年住み慣れた故郷を見捨てて、浮き木に乗るような不安な思いで私は京都にのぼるという歌です。

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このページは、宝徳 健が2012年12月23日 04:26に書いたブログ記事です。

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