アネモネ

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 昨日から、七十二候 七十一候 大寒 次候 「水沢腹堅」です。「みずさわあつくかたし」と読みます。沢に氷が厚く張り詰める様子を云います。

 我が國の國民なら「しちじゅうにこう」とお読みくださいね。「ななじゅうにこう」と読まないように。

 七十二候とアネモネがどんな関係があるか。これがなかなかいいのです。長くなるので、二、三回にわけて書きます。

 以前、このブログで「どの本よりわかりやすいギリシャ神話」をシリーズで書いていました。その一つの記事を紹介します。

(平成十八年十二月三日掲載分)
 昔、ピュグマリオンという名前の王様がいました。その王様が、象牙に刻まれた美しい女体に恋をして、神様に祈り続けた結果、なんとなんと、ほんとうにその象牙の像が人間になって妻にしたというのです。まあ、神話の世界だから許しましょう。

 そのピュグマリオンの孫に、キュプロス島の王様、キニュラスという人がいました。彼の容姿の美しさは、彫像から化身した祖母の血を受け継いだものに違いないというばかりのものでした。

 ある日、館の乳母がきて、「午前様の夜伽をしたいという女がおります。ただ、その方はお立場がある方なので、お姿をあらわにすることだけはお許しくださいとの申し出が来ていますが、それでも、その女を抱いていただけますか?」

 まあ、一興だと思ったキニュラスは、「よかろう」と言って、受け付けます。

 抱いてみると姿は見えないものの、すばらしい体をしています。

 それが、もう十二夜も続きました。

 その日の夜は、ちょうどお祭りで、王様も酔っていたので、「よ~し、今日は顔を見てやろう」と考え、その女の体を堪能したあと、火を女に向けて顔を見たのです。そこにいたのは・・・・。

 話しは変わりますが、キニュラスんは、ひとりの美しい娘ミュルラがいました。この娘も一門の血筋を継いで、すばらしい美女でした。いろいろな国の 王子から、求婚されていました。でも、いっこうにその気になりません。キニュラスもやきもきします。キニュラスがたずねても、ミュルラは、首をうなだれ て、涙を流してばかりです。キニュラスは乳母に尋ねましたが、乳母もわかりません。

 あるとき、乳母は、このミュルラが首吊り自殺をしようとしている現場と出くわします。「なにをなさいます!私にだけにもわけを話してください。きっとお力になりますので。」

 乳母に嘆願されたミュルラは、涙ながらに苦しい胸のうちを告白しました。・・・・・
 そうです、ミュルラはどんな時代にあっても許されない恋をしていました。父キニュラスに恋をしていたのです。

 そして、・・・・キニュラスの臥所に十二夜忍び込んできた女、それはミュルラだったのです!!!ジャ~ン!!

 キニュラスとしては、国王として、法を犯したものを切り捨てなければなりません。剣の鞘を払いながら、ミュルラを追いかけます。ミュルラは、「もう、帰れない」と、必死に逃げます。キニュラスは、やはりかわいい娘だったのでしょう。追跡が甘くなり、逃がしてしまいます。

 ミュルラは、何度も死のうと思いましたが、死ねません。それは、ミュルラは身ごもっていたからなのです。ミュルラは天に向かって言いました。「私 は許されない罪をおかしました。もとより天界に入る望みはありません。どうかこの地の果てで、人の世にも黄泉の国にも属さないものとして生き続けとうござ います」。

 ミュルラの声を聞き届けた天は、ミュルラの足は、地に埋もれて根となり、体はそのまま樹木の幹となり、天に差し伸べた手はみるみるこわばって、枝となりました。

 実は、ミュルラを英和辞典で引くと、「没薬の木の樹脂」となっています。この樹脂は、古代防腐剤として使われていたようです。ミイラをつくるときのも、用いられて、ミュルラはミイラの語源とも言われています。

 ミュルラが化けた樹木は、幹の中ほどに大きな膨らみがありました。胎児を生み出そうとうめき、もがく樹木を、出産の神様が見かねて、幹を切り、胎児を取り出しました。

 じゃ・じゃ・じゃ~ん。この子が、ギリシャ神話で、最も美しい少年アドニスです。

 それでは、この子がその後起した事件を中心に次回から述べていきましょう。おもしろいよ~。楽しみにね。 

 七十二候につながるこの話を次回も楽しみにしてください。

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このページは、宝徳 健が2014年1月26日 04:55に書いたブログ記事です。

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