百人一首 二十一

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 この歌に出遭ったとき、最初は女性の歌かなと思いました。男性が女性になりかわって詠んでいるのですね。作者は、三十六歌仙のひとり素性法師(そせいほうし)です。

今來むと いひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち井でつるかな
 すぐ行くとあなたが云ったから待っていたのです。なのにあなたは來ないまま秋の夜更けは、もう明け方になってしまいました。という意味です。

 宵の口に男性から「これから行く」という連絡があったから寝ないで待っていたのに來なかったという一晩説と、何か月も長期になって待っていて、春先がついに長月になってしまったという説があります。藤原定家は後者を説いています。

 僧正遍正という作者を覚えていますか?

天(あま)つ風 雲のかよひぢ 吹きとぢよ 乙女の姿しばし留めむ

 の作者です。私が百人一首で最も好きな歌です。

 素性法師は、僧正遍正の息子です。出家する前に作った子供です。自分もそうになったからと云って、息子も無理やり出家させてしまいました。いつの世も、横暴な父親はいるものですね(笑)。

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このページは、宝徳 健が2014年2月24日 05:25に書いたブログ記事です。

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