百人一首 六十四

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 朝ぼらけ 宇治の川霧 絶えだえに あらはれ渡る 瀬々の網代木(あじろぎ)

 なんと上手な歌なんでしょう。詠み人は、権中納言定頼です。そう、「百人一首 六十」の小式部のところで登場し、小式部にやり込められた男です。でも、歌の才能は抜群でした。
 小式部にやりこめられたのも、「定頼は小式部が好きで、ちょっかいを出した」「じつは二人はできていて、小式部の代作疑惑を晴らすために定頼が一芝居うった」などと云はれています。

 今回の宇他の網代木は、鮎の稚魚を捕るための網代といふ仕掛けを固定するために、川の浅瀬に打った杭のことです。網代は冬の宇治川の風物詩で、季語としても使はれます。

「夜が明けていくころ、川を覆つてゐた霧がとぎれとぎれに晴れて、そのすき間に網代木が見えるようになってきた」

 すごいですね、今、この歌を詠んでも、はっきりとその情景が浮かんできます。素晴らしい

 宇治は平安貴族の高級別荘地でした。源氏物語でも「宇治十帖」で宇治を舞台にしてゐます。定頼も宇治を訪れ、源氏物語の世界にひたつてゐたのでせうか? 我が國は素敵ですね。

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このページは、宝徳 健が2014年6月 8日 06:21に書いたブログ記事です。

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