百人一首 六十八

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心にも あらで憂き世に ながらへば 戀しかるべき 夜半(よは)の月かな

 三条院の歌です。

 「これから先、本心とは裏腹につらいこの世に生きながらえたなら、きつと戀しくなるだらう。今夜の月が」
 この歌は、皇位を退位の決意をしたときのものです。

 三条院は、天皇にまでなりながら生涯通して不遇の人でした。十一歳で皇太子となりましたが、皇位についたのは三十六歳のときでした。不幸にも目に重い病気を患ひ、視界を失ひつつありました。自分の孫を立てたいといふもくろみを抱いていた、時の權力者 藤原道長は、自分の孫を皇位につけたいと考へてゐました。なので、目の病気を理由にあの手この手で三条院の退位をせつつきました。

 圧迫を受け續けた三条帝は道長に白旗をあげるしかありませんでした。

 この歌は、視界が薄ゆくなかまさに行く末の望みや活路がついへてしまつたことを象徴してゐます。

 失明寸前でありながら、時には具合の良いときもあつたやうです。きつと、この歌を詠んだときは、お月様がことさら美しく見えたのでせう

 でも「もし生きながらえたら・・・」が現実になることはなく、退位の翌年、ジャン上院は失意のうちに崩御しました。

 悲しい歌ですね。

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このページは、宝徳 健が2014年6月14日 07:03に書いたブログ記事です。

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