百人一首 八十六

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嘆けとて 月やはものを 思はする かこち顔なる わが涙かな

 かの有名な西行法師の歌です。戀に苦しむ胸のうちを月にかけて詠んでゐます。
 日本人は昔から、月の光の美しさに心を映してきました。中でも西行は生涯、花と月をこよなく愛し、多くの歌に詠んできたことで知られてゐます。

「嘆けといつて、月がもの思ひをさせるだらうか。いや、させない。なのに、月のせいにするやうに、こぼれ落ちる私の涙だよ」

 よい年の男が戀のつらさで涙を流すなんてみともないといふ思いが隱されてゐます。かうして自然の事象に映して、自分のうちにある弱さやもろさを描く西行の人間くささが、後の世の私たちを惹きつけるのでせう。

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このページは、宝徳 健が2014年7月30日 05:30に書いたブログ記事です。

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