百人一首 九十

| コメント(0) | トラックバック(0)
見せばやな 雄島(おじま)のあまの 袖だにも 濡れにぞ濡れし 色はかはらず

 殷富門院大輔(いんぶもんいんのたいふ)の歌です。

「あの人に見せたいものですよ。松島の雄島の袖さへ、ひどく濡れても色までは變はつてないのに」
 この歌は、歌合の「戀」といふ歌題に對して歌つたもので、平安時代中期の歌人・源重之が詠んだ「松島や 雄島の磯に あさりせし あまの袖こそ かくは濡れしか(あんなに冷たくされて、私はこんなに泣いてゐます。松島の雄島の磯で漁をする者の袖でも、これほど濡れてゐないでせう)」の本歌取りとされます。

 なんと重之のこの歌は百年以上前に詠まれてゐます。その百年以上前に詠まれた歌への、女性からの返歌です。

 雄島とは、宮城県松島にある島のひとつです。もちろん、宮中にある身で松島まで旅をしたわけではありません。でも、こんな歌が詠めた平安時代の人たちは素敵ですね。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.soepark.jp/mot/mt/mt-tb.cgi/5543

コメントする

月別 アーカイブ

Powered by Movable Type 4.261

このブログ記事について

このページは、宝徳 健が2014年8月 6日 03:44に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「どのメディアもやつてゐない(皇紀二千六百七十四年八月三日の日誌)」です。

次のブログ記事は「素行」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。