涼風至

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 今日から立秋ですね。七十二候 三十七候 立秋 初候 「涼風至」です。五日ごとにくるこの季節感を感じ(觀じ)ながら、私たちの祖先は生きてきました。これを情緒と云ひます。私達が失つてしまつたものです。

君待つと 我が戀ひをれば わが屋戸の すだれ動かし 秋の風吹く

 額田王(ぬかたのおおきみ:これに振り假名をつけなければならないのがさびしい)の歌です。
 秋の気配がほの見える頃です。涼しい風が・・・?

 まだ暑いのに夏??? 子供の頃さう思つてゐました。これが易經で云ふところの兆しです。暑い時は、確実に寒い時に向かつてゐます。

 經營でも人生でも同じです。順調な時には、陰の要素が入つてきます。それに備へておかないと、逆境が來たときに對應できません。逆に、逆境といふ陰の時期には陽が入り込んでゐます。逆境に耐えると必ず順境がやつてきます。

 古今東西最高の經營者である出光興産の創業者 出光佐三店主は、いつも「順境にて悲觀し、逆境にて樂觀せよ」と仰つてゐました。佐三店主は古典、神仏にとても造詣が深く、必ず經營に活かしていらつしやいました。本當の敎育とはかういふものです。

 三千冊以上ある我が社の本棚の一角は出光コーナーです。その中に出光五十年史といふ本があります(手に入りません)。佐三店主は經營が順調になると嘆きます。「人が育たない」。逆に、収支が苦しくなると喜びます。「人が育つ」と。

 敗戰後の私達は、ずいぶんと退化したものです。それを、時代が進んでいると思つてゐる人がたくさんゐることのこの愚かさ。

 話を戻します。蟬しぐれと云ふ言葉があります。たくさんの蟬がいつせいに鳴く樣子を時雨に例へてゐます。地上に出て數日の命を懸命に使つてゐる蟬に私たちは見習つてゐるでせうか???

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このページは、宝徳 健が2014年8月 7日 05:00に書いたブログ記事です。

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