霎時施

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 今は、七十二候 五十三候 霜降 次候 霎時施です。「こさめときどきふる」と讀みます。小雨がしとしとと降る時期です。

 霜降とは、「そうこう」と讀みます。「朝夕に冷え込んできて露が冷気によつて霜となつて降りはじめることです。
 子供頃、まだ舗装されてゐる道路の方が少なく、よく霜柱が土の中からもこもこと立つてゐました。それを踏むと、なんとも云へない感触がありました。ザクッ、ザクッと踏みながら學校に通つたものです。

 魚がどんどんおいしくなる季節です。郷里の博多でもそうです。

 博多に八千代丸といふなじみの店があります。フグやアラ(クエ)は、高価で中々口に入れることはできませんが、烏賊を始めとした旬の魚が最高においしいのです。

 福岡に住んでいた頃は、朝、市場のおっちゃんが、あまつた魚を家まで賣りにきてゐました。大きな發砲スチロールの箱にびつしり入つた魚の中から、母が選ぶ定番は、サバと烏賊でした。鯖の刺身にゴマダレをかけてお茶漬けにします。烏賊はイカソーメン。驚くほど安いのですが、これほどのご馳走はありません。地方と云ふのは贅沢なものです。

 ですから、烏賊が「白い」と云ふことは関東に住むまで知りませんでした。父の仕事の都合で、千葉県柏市に引つ越した時、母と一緒にスーパーに賈物に行きました。なんと烏賊が「切り身」で賣つてゐるではありませんか。それも、パックで。このとき、以下の切り身がパックで賣つてゐるのを初めてみました。

 それ以上に驚いたのが、烏賊の色が白かつたことでした。私たちは、烏賊は透明なのが當たり前でした。私は母に云ひました。「これ烏賊? 烏賊がなして白いと? これ蒲鉾ちゃうと?」

 
 二人の目は點になりました。
一本槍

 これが烏賊です(八千代丸ホームページより)。
 
 あ~、烏賊が食いたくなつてきた。

 烏賊が白い 買い物に行き 烏賊を見て 母と驚く 烏賊の白さに 

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このページは、宝徳 健が2014年10月30日 07:33に書いたブログ記事です。

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