１．将軍の事、静にして以って幽(くら）く、正にして以って治む。
将軍の仕事ぶりは、こうあるべきだ。すなわち、物静かで奥深くあることで、内心を計り知れなくする。公正にやってきちんと管理することで、兵士が違反しないようにさせる。
リーダーは、いくら不安なときでも、不安な顔をしてはいけません。見透かされると、ﾏﾈｼﾞﾒﾝﾄできなくなります。リーダーに威厳がついて、はじめて部下がついてきます。
２．およそ客たるの道、深ければ専（もっぱ）らとなり、浅ければ散ず。
敵国に攻め込んだとき、奥深くまで進軍したら、逃げても逃げ切れないので、全員がひとつにまとまって戦おうとします。でも、国境に近いところでは、すぐに逃げ帰ることができるので、浮き足立ちます。
後戻りできないようにしていくことが大切です。
３．無法の賞を施し、無政の令を懸け、三軍の衆を犯して一人を使うがごとくす。
将軍は、いざというとき、法外な恩賞を与えたり、超法規的な措置を取ったりすることで、全軍の兵士をしっかり統率して、全軍が一体となって動けるようにする。
きっちりきまりごとだけをやっていてはいざというときに対応できませんよということです。
４．これを亡地に投じ、然る後、存す。これを死地に陥れ、然る後、生く。そもそも衆は害に陥り、然る後、勝敗を為す。
自軍をいつ滅んでもおかしくない状況においてこそ、はじめて生き残ることができる。自軍をいつ死んでもおかしくない状況においてこそ、はじめて生き抜くのとができる。そもそお人々は、ピンチに陥ってこそ、必死になるので、勝負をつけることができるのだ。
つまり、いつも自分を追い込みなさい、ということです。締め切り間近に仕事していてはいけませんね(反省)。
５．始めは処女のごとくして敵人の戸を開き、後に脱兎のごとくして敵のあえて拒まず。
はじめはまるで少女のようにか弱く見せて、相手を油断させる。相手が油断したところで、まるで猛ダッシュするウサギのようにすばやく攻め、相手に反撃する余裕を与えないということです。つまり、チャンスをうかがうまで、へたに動くなということ。
ここから火攻編です。テーマは「盟主は之を謹み、良将は之を警(いまし）む。此れ国を安んじ軍を全うするの道なり。(偉い君主は開戦に慎重だし、すぐれた将軍は開戦に注意する。これが国の安全を保ち、軍隊を傷つけないで勝つ方法だ）」です。
６．およそ火攻に五あり。一に曰く火人(かじん）、二に曰く火積(かせき）、三に曰く火輺(かし）、四に曰く火庫(かこ）、五に曰く火隊。
火攻めには、五種類あります。兵隊に火をつける、物資に火をつける、補給部隊に火をつける、倉庫に火をつける、軍隊に火をつけるです。
７．火を行うに必ず因あり、烟火(えん)は必ず素より具う。火を発するに時あり、火を起てるに日あり。
火攻めを行うには、燃えやすい上体が必要です。普段から、燃えやすくなるように準備をしておきます。火を燃え上がらせるには、乾燥した時を選ぶ必要があります。つまり、仕事でも、こちらが攻めるときは、うまくいく準備や日を選んでしなければならないということです。
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