どの参考書よりわかりやすい中小企業白書2007

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  2007年版中小企業白書が出版されました。中小企業白書とは、中小企業庁が予算を確保するために、行った施策の結果、中小企業がどのような状態になったのかをまとめ新たな施策を国会に報告するものです(予算をとるため)。この解説のテーマは二つ。
①中小企業白書は、中小企業の事業ヒントが満載です。中小企業経営者のために書きます。
②中小企業診断士試験を受験する人のために書きます。中小企業診断士試験において、白書から約20%出題されます。この分厚い本を隅々まで勉強することは 大変です。でも、大丈夫。つぼを押さえれば、出題するところが分かります。最初からじっくり読まないこと。診断士受験生にとってわかりやすつぼを押さえま す。
  白書は、1ページ から読み込まないことがポイントです。前述しましたとおり、中小企業庁が予算を取るためのものですから、中ほどの「まとめ」と後ろのほうの「平成19年度 において講じようとした施策」から読み始めます。そして、そこに書いてある理由付けのところを、関係する前の章から拾って読んでいきます。
 ずばり、2007版白書のポイントは3つ。「地域の応援」「企業の応援」「ヒトの応援」です。このテーマをはずして読んでもなんにもなりません。
 3つがテーマに上げられている理由は、バブル崩壊後の長い低迷を経て、小泉内閣が推進した不良債権処理問題がうまく機能し、日本の経済は回復方向に向 かっています。しかしながら、その回復が、バラつきを生み出しています。ばらつきの種類として「地域」「業種」「企業規模」があげられています。
 わが国の98%を占める中小企業は、地域活性化の中心的役割を担い、国際競争力を支える存在です。そこで、その三本柱が設定されています。

 258Pの「まとめ」のサマリーは以下の通りです。

◎我が国企業の業況が全般として回復する中で、地域や中小企業にその利益が行き渡らないのはなぜか→バラつきが生じている。→しかしながら、中小企 業であっても、技術力等により商品を差別化できている場合や販路を複数持つ場合に、強い価格交渉力を持てる→①地域を中心としたばらつきを解消する施策が 必要、②中小企業の工夫や販路開拓を支援する施策が必要。

◎バブル崩壊後に生じた経済構造の変化により、中小企業と様々なステークホルダーとの関係がどのように変化したか

①取引→メッシュ化している(今までのように大企業との一方通行取引ではなくなっている)→メッシュ化によって情報のやり取りが増大している、従来の取引慣行がまだ残っているので、技術が適正な価格に転嫁されていない→企業の支援が大切

②金融機関との関係→取引銀行数が増加している。小規模企業の金融機関との接触頻度が大きく低下している。→企業の支援が大切

③人的経営資源→中小企業から人材が失われている→ヒトの支援が大切


今回の白書は、昨年までの白書とまったく違った切り口となっています。2000年以来の施策改革です。よく読みこんで活用できるものはしましょう。

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このページは、宝徳 健が2007年7月28日 04:50に書いたブログ記事です。

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