BCP(事業継続計画)

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 BCPを作成していたけれど、東日本震災であまり効果がなかった企業のお話からでした。
 「BCPを策定する意味があまりないのではないか」という否定的な意見が社内で噴出してしまった企業があります。そうした意見の人は、連鎖的に発生した交通インフラの途絶や、帰宅・出社困難な従業員の発生、原発事故、燃料不足、計画停電、サプライチェーンの途絶といった想定外の事象に対応できなかったことを根拠に挙げています。

 こうした失望要因は、主に3つが考えられます。

①BCPが「万能な計画である」と誤解されていること
 こういう人は、BCPの意味を再確認する必要があります。BCPとは「人・モノ・情報・資金が不足したり使用付加となった厳しい条件下で、重要な製品の出荷やサービスの提供を継続または早期再開するための戦略と対応計画」です。

 つまり、会社のすべての業務を早期に復旧されることを目的とすべきではないのです。経営の視点から重要な業務を絞り込んでおくことが欠かせません。すなわち「ビジネスインパクト分析」というものを実施し、重要業務の絞込みと、重要業務に欠かせない経営資源の特定、復旧優先順位付けと許容停止時間を平常時から検討しておくことが求められます。

②震災後に発生した様々な事象に対応できる柔軟性に乏しかったこと
 たとえば、拠点ビルに耐震対策を施して、オフィスへの被害は軽微であったのに、交通インフラが混乱したり、停電したり、PCの端末が使えなかったりして、重要業務を継続できなかったケースなどです。

 逆に柔軟性の高い事業戦略の例は、代替拠点の確保や地域的な分散化といった対策が挙げられます。ただし、このように立案した事前対策が、予算との兼ね合いでペンディングになっていることも少なくありません。

③連鎖的に発生した様々な事象への対応の検討が不十分であったこと
 この場合、事態が進展するたびに、新たに検討を行わなければならなかったため「事前に計画を立てても意味がない」と受け止められてしまったと考えられます。

 この場合は、BCPを見直すというよりも、緊急時対応計画(もしくは、「災害初動時対応計画」)の見直しが必要になります。緊急時対応計画とは、災害・事故などの発生から数時間~2日間といった初動に対応すべき行動について整理したものです。

 この緊急時対応計画の対象は、事業中断を引き起こす出来事に限定されません。自社従業員の不祥事、製品の品質異常、異物混入、食中毒、情報漏えいなど、幅広いリスクを対称にしています。このため、この計画は「危機管理計画」と呼ばれることもあります。



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このページは、宝徳 健が2011年7月 9日 03:46に書いたブログ記事です。

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