不満と不服

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 先日紹介した「般若心経入門」が手に入りました。私が三十歳の頃、私を救ってくれた本です。
 その後、人生に悩んでいる方がいらっしゃって、手持ちの「般若心経入門」を貸しました。戻ってきませんでした。貸した私がバカなのですが、本は貸すと、たいてい戻ってきません。それも、本をあまり読まない人に貸すと、確実に戻ってきません。

 その時は、家族の一人を奪われたように悲しく感じました。

 ネットで検索すると、ありました。小さな単行本に姿を変えていましたが、確かに松原泰道先生の「般若心経入門」です。今、小躍りしています。しばらく持って歩きます。鞄の中、そして、事務所の机の上には、読みたい本がいっぱい。どの本も「次は、僕だよ(私だよ)。早く読んでね」と、私をせかせます。本に囲まれて死ねたら幸せだろうなあ。こういうことを言うと、「本がしゃべるわけがない」とおっしゃる方がいらっしゃるのですが・・・。だって、本当なんですもの・・・。

 旅に出るとき、読みたい本を宿に宅配便で送って、その宿で、本をしこたま読めたら幸せだろうなあ。その地で、万葉や古事記の地を訪ね歩きながら。古典の旅と読書とB級グルメが私の趣味です。かなり怠け者の発想ですね(笑)。今は、それを実現させることを夢見ながら、仕事をします。

 オリンピックのメダリストがTVに出演しています。日本語が・・・。聞くに堪えない人が多すぎます。福原愛選手など、自分の母親の事を「お母さん、お母さん」と公共の電波で言います。これ、親は恥ずかしくないのだろうか?なぜ、注意をしないのだろうか? 支那語を話す前に、きちんと日本語を勉強してもらいたいものです。

 相変わらず「あの~↗」「だから~↗」の、あの語尾を上げる、虫唾が走る言葉の使い方や、「ほんとに」を必要以上に返す話し方・・・。勘弁してほしい。美しい国家が・・・。美しい日本語が・・・。

 それとも、この人たちは、きれいなものを汚すのが趣味なのだろうか??? 皆目見当がつきません。

 そのような中、鈴木聡美選手は、きれいな言葉を話しますね。親御さんがしっかりとしていらっしゃるのでしょう。

 そういえば最近使わなくなりましたね。「親の顔がみたい」という表現を。このことについては、後日に譲りましょう。話を変えます。

 私たちの子供の頃は、まだ日本は貧しい社会でした。「金銭的に」満足する生活は送ることが出来ませんでした。ですから、「ああ、もっとこれが食べたいなあ」「ああ、これが欲しいなあ」と、いわゆる「経済的な」不満はいつもありました。

 この不満の事を仏教用語で「求不得苦(ぐふとっく:求め欲するものが得られない苦しみ)」と言います。みんな、この不満の解消に、懸命に働きました。

 ところが、現代では、物の豊かさにすっかり慣れてしまいました。欲しいときには何でもすぐに買えますし、要らなくなるとすぐに捨てます。驕った生活態度になってしまいました。

 すると「不満」はなくなるのですが、替わって「不服」が生まれてきます。

 昔は、行きたくても経済的に学校に行けない人がたくさんいました。子供の頃は、弁当を持って来られない人や、学生服の下に新聞紙を着ている人もいました。

 今はそんな人はいません。苦しくなれば、手に入らないことを「不服」に思い、生活保護さえもらえるのですから。だから、向学心がなくなり、登校拒否というびっくりすることも起きてしまいます。

 結婚も自由ですが、不服に思ってすぐに離婚します。昔は「不満」に思っても、それぞれに責務を果たしました。

 貧しければ不満が出てきて、豊かになれば不服に思う。人間とはやっかいなものです。ただ、ひとつだけ言えることは、昭和三十年代の日本の方が、(不満はたくさんあったにせよ)、人は幸せでした。不服よりも不満の方がいいですね。自分の中で完結しますから。

 不満と不服を混同しないようにしましょう。日本人全員が当時あんなに望んだ「裕福」が実現してわかることは、「裕福」が本当に人間にとって、いいことかどうかはわからないということです。

望む物 すべてが得られる 裕福が 人の心を 不服でむしばむ

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このページは、宝徳 健が2012年8月14日 02:27に書いたブログ記事です。

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