三井の晩鐘

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 滋賀県大津市に三井寺という名刹があります。

 三井寺の歴史については追々書きます。名前の由来は、この寺の井戸にあります。
 この寺の井戸は寺の創建以前からあり、天智・天武・持統各天皇の産湯を汲んだとされています。そのことからこの井戸は「御井(みい)」と呼ばれるようになり、これが三井寺と呼ばれるようになったゆえんと言われています。

 三井寺の金堂のそばに鐘楼があります。この鐘が「三井の晩鐘」です。この鐘は、琵琶湖畔へ美しい鐘の音を響かせ、京都の平等院と神護寺の鐘とともに、日本の三名鐘のひとつに数えられています。

 この鐘には悲しい物語が伝えられています。

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 昔々、琵琶湖のほとりに若い男が暮らしていました。ある日、男は、子供たちにいじめられちる蛇を助け、琵琶湖に放してやりました。すると、その夜、家に美しい娘が一夜の宿を求めてやってきました。二人はやがて夫婦となり、娘は子供を身ごもりました。出産のとき、娘は、男に産屋をのぞかないよう懇願します。男は、了承しますが、長い出産の時間、心配になり除いてしまいました。するとそこには蛇が子供を産んでいる光景があるではないですか。

 蛇は産んだばかりの子供を抱えて言いました、「正体を見られては、私はもうここにいることはできません」

 蛇は光る玉を置いて去っていきました。その玉には不思議な力があり、子供はそれをなめてすくすくと育ちました。ところがその不思議な玉のうわさを聞いた地頭が、男から玉を奪ってしまったのです。

 男は途方に暮れてしまいました。すると蛇が現れて再び光る玉を差し出しました。「その玉は私の眼です。ふたつ共渡してしまいましたので私はもう何も見ることができなくなりました。私はあなたたち二人の居場所がわからなくなってしまいます。無事で過ごしているなら、三井寺の鐘を鳴らして知らせてください」と言い、蛇は立ち去りました。

 以来、男は、子供と抱きながら、毎日三井寺の鐘を鳴らしました。

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 とても素敵なお寺です。本尊は秘仏とされている阿弥陀如来像です。秘仏なので観ることはできません。観たいな~。

 鶴の恩返しにも同じ話があります。鶴が機を織っているところを観てしまったので鶴は去ってしまいました。古事記にも同じ話があります。

 山彦がトヨタマビメの出産風景を見てしまい、トヨタマビメは海に帰らなくてはならなくなりました。これが何を意味するかわかりますか?

 男は女の秘密の場所を見てはいけないということです。特に出産風景は男は絶対に見てはダメだという祖先からの強い言い伝えを表しています。今、旦那も出産に立ち会うことが流行っていますが、これは神への冒瀆になります。また、海外からダブルベッドが導入され夫婦の寝室が同室になっていますが、これも昔の日本ではありえませんでした。女性の秘密の場所には男は入ってはいけないのです。女がすっぴんになり裸になり化粧をする寝室に男は入ってはいけないという言い伝えです。実は、欧米でもそうなのです。ダブルベッドで寝るのは階級が低い人なのだそうな。貴族は寝室は別々とか・・・。同衾しても同閨せずですね。知らなかった・・・。

 古典を知るって大切ですね。祖先からの言い伝えですものね。

 三井寺に行きたいな~。

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このページは、宝徳 健が2012年12月 3日 08:00に書いたブログ記事です。

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