信長膳

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 昨日、新幹線の中で食べた駅弁当「信長膳」の中に、説明書きが入っていました。内容を書き留めておきます。とても素朴でおいしい弁当でした。
「天正10年(1582年)5月、織田信長は武田氏討伐に功を上げた徳川家康を安土城に招き、一世一代の晩餐を催します。日本史上最も有名な『安土御献立』です。安土桃山時代は、中世から近世への時代の過渡期にあたり、飛躍的に輸送能力が向上しました。そのため全国から特産品が天下人のもとに集められ、日本料理の原型が形成された時期でもあります。さて、家康の饗応役を命じられた明智光秀は全国から山海の珍味を集め接待に務めますが、準備の不手際から信長の怒りをかい途中で任を解かれます。この数日後に『本能寺の変』が起き、その契機となったのが、『安土御献立』ともいわれています。本『信長膳』は、この『安土御献立』より、復元可能な料理を選び、資料(『続群書類従』)に基づき、できる限り忠実に調理いたしました。また数品は、この時代に食されていた代表的な戦国料理を再現いたしました。ひと時、戦国時代の世に思いを馳せ、。織田信長の最後の晩餐をご堪能いただければ幸いです」

おしながき

鱒の焼き物
ますを切り身にして塩をふって焼いたもの。当時、ますは近江の特産品であった。

うちまる(宇治丸)
丸のままのうなぎを、醤油と酒を合わせた調味料を付けて焼いたもの。当時は、火にあぶった時の醤油独特の香ばしい香りでうなぎのくさみを消したのだろうと推測する。醤油の使用はこの頃からはじまったばかりで高級調味料であった。うなぎを開いてかば焼きを作るのようになったのは、 この二百年後のことである。

こくし(小串)
鳥の肉を小串にして焼いたもの。当時は、魚や鳥(キジ)の肉を小串に刺して焼いたり、生麩にたれ味噌をつけたものを刺してあぶった。

山のこいも
里芋の煮物。煮物三品を一皿に盛り合わせた料理意「みつあえ」の中の一品である。この頃より野菜の盛り合わせ料理が出はじめた。特に、山の薯(いも)・しいたけ・ごぼうは茶懐石の煮しめとして使われている代表的な料理で、茶に心を寄せる信長らしい取り合わせであった。

ふき
ふきの煮物。煮物三品の盛り合わせ料理「みつあえ」の中の一品

しいたけ
しいたけの煮しめ。しいたけは鎌倉時代より中国に転出されているが、品質が良いため、日本のしいたけは当時より珍重されていた。味付けにはすめ味噌が使用された。すめ味噌とは味噌汁の上澄みを取った汁のこと。

あへまぜ
細長く切ったするめ、昆布、人参を和えたもの。当時はするめ、干かつお、干あわびなどの魚介類をけずり、湯にかけて戻し、もみ洗いし、煎り酒と酢で和えた。煎り酒は、酒に梅干、かつお節、たまりを入れ、煎じてこしてとる当時の調味料である。儀式料理のメニューをとなっている。

ごぼう
酢ごぼう。室町中期以降に生産量が増加して消費が増え、煮ごぼうとして食した。ごぼうは秀吉の好物としても知られている。室町時代の献立は魚や鶏肉が上位におかれ、それに対して野菜は粗物だといわれて軽んじられていた。しかし、安土献立では十三種類もの野菜類が使用されているのは、新らしいもの、良いと思ったものはためらわず取り入れる信長の性格を表している。

な汁
ホウレンソウのおひたし。当時は、青菜やみょうがを入れた、すめ味噌の汁。

かりの豆
枝豆。当時の詳細は不明。早生大豆をゆでたもので、今でいう枝豆のようなものだと推測できる。

花に昆布
昆布を柔らかく煮て、花形に切ったもの。当時はお菓子として出された。

まめあえ
大豆を甘く煮たもの。当時は大豆を煎り、あめでからめてお菓子として茶会で使用した。

香(かう)の物
大根の味噌漬け。古来より味噌を香といったことから、味噌の漬物を香の物というようになった。

焼き味噌おにぎり
握り飯に味噌を塗り、軽く焼いたもの。戦国時代、おにぎりは戦や鷹狩りの携帯食とされた。また、一般的な保存食として、味噌を梅干くらいの大きさに焼いて固めた焼き味噌があり、兵士の貴重な栄養源となっていた。信長が生まれた尾張の味噌は大豆100%の豆味噌で栄養価が高かった。

監修/学校法人茶屋四郎次郎記念学園 東京福祉大学 理事長 中島 範




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このページは、宝徳 健が2010年2月 8日 10:52に書いたブログ記事です。

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