大和言葉 參十弐(皇紀弐千六百七十五年十二月七日 弐)

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 ある美容室で、どうしても売上がなかなか向上しないスタイリストがゐました。技術は抜群です。でもあがらない。
 オーナーが、「胸に染みいる」やうな文章をたくさん讀ませました。彼は、讀んだとき毎囘、涙するやうになりました。彼の売上は月間二百万円になりました。

 問題點や課題を解決することを「當たる」と云ひます。人の心をくみ取ることを「統べる」と云ひます。どんなにノウハウや手法や技能が髙く、問題點解決能力、課題對應能力が髙くても、「統べる」力がなければ業績は永く向上しません。

 出光興産に昭和三十三年組と云ふ、綺羅星のごとく優秀な人材がゐた年次がありました。

 佐三店主とその三十三年組が話した時、佐三店主は叫びました。「お前らは出光の癌だ」と。

 「當たる」と「統べる」の違ひを理解していなかつたからです。「お前らが出光を潰す」と店主室敎育が始まりました(その三十三年組みは受けてゐない)。今はその店主室敎育も廢止されてゐるやうです。

 かつてソニーは、全役職者に對して、エニアグラムリーダーシップ研修を行つてゐました。今は止めてゐます。ソニーが今、どうなつてゐるかはご存知の通りです。

 「最近、仕事で感動の涙を流したことはありますか?」

 あるコンサルタントの職場アンケートに在る項目です。熟考しませう。

 「言霊(ことだま)の幸(さきは)ふ國」、日本。

 それぞれがそれぞれの心に有してゐる、相手に對する氣持ちを髙めるには「胸に染みいる」「胸を打つ」「胸に迫る」シーンを仕事の中で創造していくしかありません。

 それが出光佐三店主が仰つた、「事業を藝術化する」といふことではないでせうか?「眞に働く姿を顕現し國家社會に示唆を與へる」仕事のなのではないでせうか?

 大和言葉に触れて、もう一度考へさせられました。

 石油業界の合併が續いてゐます。規模ばかりが大きくなるのではなく、「統べる」力を向上させる業界再編であつてもらひたいものです。

 かつてあれだけ獨自性を有してゐた都銀が、合併を繰り返し、メガバンクになつた途端、面白味もない業界と人間たちになつた失敗は繰り返さないでほしい。

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このページは、宝徳 健が2015年12月 7日 06:37に書いたブログ記事です。

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