ゼロ以下 ⑦(皇紀弍千六百七十六年四月二十二日 參)

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 なぜかわかりませんが、日本人は「權威」が好きです。私がこのブログで有名な學者たちに意見をすると、「こいつは、あんなに偉い人たちに何を言つてゐるんだ」といふやうなことを云はれます。

 もちろん學者にも素晴らしい方たちはたくさんゐます。支那史専門の、宮脇淳子さんなんかはその代表ですが、彼女は、正しいことを言ひすぎるために、あれだけの研究成果を殘しながら、未だに講師です。

 官立學校の弊害はここにあります。權威者が發する言葉が神格化してしまひます。

 アベノミクスやマイナス金利の際もさうです。批判に批判を重ねられてゐます。これがイチャモンレベルなのには、驚きます。肩書きなど何の意味もなしません。
 安倍政權誕生直前とマイナス金利を決めた日銀政策決定會合前日と、現在の國債と金利の關係を見ると、三十年國債から一年國債のすべての金利が低下してゐます。

 野口悠紀夫氏をはじめとするアベノミクス批判者は、アベノミクスで國債が暴落する、金利は暴騰する(ふたつは同じ意味)と叫び、本屋の店頭には、アベノミクス批判本が大量に陳列されました。これをどう説明しやうと云ふのでせうか?????

 マイナス金利の時も同様の批判が起こりました。でも、マイナス金利でも市中金利は低下したのです。

 アベノミクスとマイナス金利の何を問題にして批判をしてゐるのか、私には皆目見當もつきません。

 かういふ状況になり、自分たちの考へ違いは白日の下にさらされると、彼らは、論点をずらして批判をします。マイナス金利のメリットがデメリットを下囘ると云ひだしたのです。まさに設計主義者です。

 なかでも銀行の収益が惡化するといふ話は妙に説得力があります。

 前囘、お話ししたやうに、債権部門の収益はぶっとびます(といふかマイナスになる)。すると投資家は、銀行株を賣るので、銀行株が下落するといふものです。この最もらしい話しにみんな右往左往します。

 事實を確認しませう。銀行株が下がつてゐるのは、昨年末からです。一年前に比べて三割ほど下がつてゐます。確かにマイナス金利によつてさらに低下しましたが、その後は一割程度戻つてゐます。

 これは何もマイナス金利の影響ではなく、本來の金融機關業務をせずに、國債の賣賈だけで利益を上げている金融機關に對する世の中の鐡槌なのです。金融機關の本來業務は、國債の賣賈ではありません。預金者から預かつたお金で有望な産業に融資し、お金を經濟の血液として循環させ、國家經濟に貢献することが使命です。銀行が融資のリスクを避けてゐたら何のための金融機關でせうか。預金者に金返せ。と云ひたい。

 銀行は官庁ではない。銀行員は公務員ではない。営利企業であり、そこで勤める人間なのです。設計主義とはこのやうに怖ろしいものなのです。國家破壊につながります。

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このページは、宝徳 健が2016年4月22日 03:56に書いたブログ記事です。

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