組織と訓令(皇紀弐千六百七十六年六月九日)

| コメント(0) | トラックバック(0)
 昨日、倉山満氏の本を讀んでゐました。面白いことが書いてあつたので紹介しておきます。

 なぜ、政治や外交や大本営參謀が愚かたつたのに、帝國陸海軍が強かつたかも理解できます。そして、現在、三菱自動車やシャープや東芝になぜ、あのやうな不祥事が起こるかも。さらに、企業の組織づくりに必要な考え方は何かも。
 
 私の考へ方の整理をしておきます。
 「號令」と「命令」と「訓令」について書いてありました。

 組織には、指示をする人(發令者)とされる人(受令者)がゐます。

 號令といふのは、「明日、東京まで行くので、〇〇時〇〇分新大阪駅發品川行きの新幹線の自由席チケットを賈つておいてくれ」です。受令者には一切、裁量は不要です。受令者は、その通りやらなければなりません。「言われたこと以外やるな、言われたことだけやれ」となります。

 命令は「明日、十八時に日本橋まで行きたいので、それに間に合ふやうな新幹線の自由席チケットを賈つておいてくれ」です。これは受令者に最良權があります。間に合ふやうに受令者は調べて賈へばいいので。もつとも、センスが號令よりもセンスが求められますが。でも、現場でアクシデントに對應できます。

 訓令とは「明日、十八時までに日本橋の〇〇まで行きたいので、チケットの手配をしてくれ」です。さらに裁量權が現場で廣がります。飛行機だつていいし、指定席でもいいし(先ほどの號令や命令では、自由席が賣り切れだと悲慘です)。

 「號令→命令→訓令」の順番で人を育てて行きますが、今の企業は、トップまたは幹部が號令で終はつてゐるケースが多いのです。東芝、シャープ、三菱自動車・・・みんなさうです。

 そして組織に一度でも属したことがある人はわかりと思ひますが、號令を出しておきながら(つまり、云はれたこと以外はやるな)、突然「これ、なんとかならないか」と云ふ經營者や幹部のなんと多いことか。

 組織は、階層支配型では絶對に伸びません。共同體使命(ミッション)型を構築しなければなりません。でないと、次世代に、「髙めてつなぐ」ことができません。

 かつての出光興産は、古今東西最高の經營者である故出光佐三店主がこの共同體使命型組織を構築しました。現場への裁量權はすさまじいものがありました。「一人ひとりが經營者たれ」といふ言葉もありました。私は、最初この言葉の意味がわかりませんでした。「社員が經營者になれるわけがないやん」と思ひました。

 見方を變へます。組織のミッションの段階です。

テクニカルスキル(誰もが認めるレベルの仕事のスキルを髙める)

マネジメントスキル(部下が得心できるリーダーシップ・マネジメントスキルを髙める)

ヒューマンスキル(人が惚れるやうな人間性を髙める)

コンセプチュアルスキル(自分の仕事のコンセプトを構築しそして、それを實現できる)

オーナーシップ(經營者の感覺を養ふ)

と進化・深化・心化していくことが肝要です。これは、例えばトップだけがオーナーシップを持つと云ふ意味ではありません。

 社員にミッションの達成を求め、そして、この段階をどんどんステップアップして行ける人間を育てることです。それが、佐三店主が言つた、「ひとり一人が經營者たれ」です。

 經營陣が若い時はいいのです。經營陣が歳を重ねてくると、どうしても、上がふんずまりになり、經營幹部や經營幹部の經營者感覺が育たなくなります。

 「なんで、うちは人が育たないんだ」と嘆いても仕方がないのです。階層支配型組織を作つてゐる經營者の責任なのですから。

 號令組織になつてゐませんか?命令を訓令に深化させる組織づくりをしてゐますか?

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.soepark.jp/mot/mt/mt-tb.cgi/6362

コメントする

月別 アーカイブ

Powered by Movable Type 4.261

このブログ記事について

このページは、宝徳 健が2016年6月 9日 07:51に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「刹那(皇紀弐千六百七十六年六月九日)」です。

次のブログ記事は「退屈(皇紀弐千六百七十六年六月十弐日)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。