源氏物語15(皇紀弐千六百七十六年七月十一日)

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空蟬の 軆をかへてける 木(こ)のもとに なほ人がらの なつかしきかな

 「蟬が脱皮するやうに薄衣を殘していつたけど、あなたの人柄が懐かしく思はれてなりませんよ」。

 實は、空蟬とは、光源氏が詠んだこの和歌から源氏物語における彼女の名前となつたのです。

 では、これはどういふことか。
 女官との囲碁が終はつた空蟬は、この囲碁の相手と几帳(きちょう)をへだてて横たはりまます。

 几帳とは、こんなのです。


 それに氣づいた光源氏はしのびこみます。

空「あら、あの人らしいわ」

 見捨てられなかつたとわかると嬉しい女心。でも、
空「深入りしてはいけないわ」

 とっさに単衣(ひとえ)を一枚羽織って床を抜け、すべるやうに逃げ出してしまひました。

 そうとは知らない光源氏は、
光「ふっふっふ、一人で寢てゐるな」

 と勝手に思ひ込み、眠つてゐる女官の着物をはぎます。

光「うん?この前抱いたときより肥えてゐるぞ。ええい、ままよ」と、女官のを抱いてしまひます。

光「人に知られるより密かな仲のはうが趣がありませんか?私は、あなたを忘れないから、あなたも忘れずにゐてくださいね」
女「でも、恥ずかしくてお手紙も差上げられませんわ」
光「人に話してはだめですよ。私のはうからお手紙を差上げますから」

 人にばれない工作をして、空蟬が殘して行つた薄衣を持ち去りました。

 笑つてしまひます。空蟬がこのシーンを見ていたら呆れるでせうね。

 これが、最初に紹介した和歌の内容となつてゐます。小君は、この和歌を空蟬に届けます。つづく

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このページは、宝徳 健が2016年7月11日 16:59に書いたブログ記事です。

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