源氏物語 17(皇紀弐千六百七十六年七月十九日 弐)

| コメント(0) | トラックバック(0)
 さあ、第四帖 夕霧に入ります。以前、空蟬と同一人物とするといふうつかりミスをした女性です。この夕霧は、ミステリー小説みたいなんです。

 光源氏は、小さいころ世話になつた乳母(めのと)が病氣になつたと聞いて見舞ひに行きます。
 ここで、女性以外の男性でまう一人覚えてください。惟光(これみつ)です。これで覺へてもらふ男性は、光源氏と頭中將(とうのちゅうじょうと惟光の三人になりました。いけない、いけない、空蟬の弟の小君もいたつけ。惟光はしばしば登場するので覺へてください。

 光源氏が訪ねて行つた乳母は、惟光の母親です。

 光源氏は牛車(ぎっしゃ)で訪ねていきました。

從者「門が閉まつてゐます」
光「では、私は牛車の中で待ってゐるから」

 従者が、中の樣子を探りに行きます。待ってゐる間、光源氏が周囲をながめてゐると、垣根をめぐらした質素な家に女たちが集まってゐるのが目にとまりました。

 光源氏は、板塀にかかる白い花を見つけました。「なんといふ花かな」と獨り言のやうにつぶやきました。

共の者が「夕顔です」
光「一房折つて來てくれ」

 共の者が花の茎を折つてゐると家の中から女の子が現われ、白い扇を差し出して、「この上にのせて、どうぞ。枝の汚い花ですから」

 家の中にいる者粋なはからいです。

光「はて、粗末な家だが、たしなみの深い女がいて、中から樣子をうかがつてゐたのだな」

 そこに惟光が出てきます。

惟「ご不便をかけました。ひどいところにお待たせしてしまつて」

 乳母の親族たちが集まつてゐて、思ひがけない光源氏の來訪にみんなこぞつて、恐縮します。乳母は、光源氏が立派に成長した姿を見て、涙涙・・・。今生最後のご利益と喜びます。

 光源氏は、ふと「さう言へば、先ほどの家のことが氣になる・・・」

 扇には、みごとな筆跡で一首が詠まれてゐました。

心あてに それかとぞ見る 白露の 光そへたる 夕顔の花

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.soepark.jp/mot/mt/mt-tb.cgi/6421

コメントする

月別 アーカイブ

Powered by Movable Type 4.261

このブログ記事について

このページは、宝徳 健が2016年7月19日 08:06に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「鷹乃學習(皇紀弐千六百七十六年七月十九日)」です。

次のブログ記事は「投機(皇紀弐千六百七十六年七月二十日)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。