源氏物語 6(皇紀弐千六百七十六年六月一日 四)

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 光源氏と頭中將(とうのちゅうじょう)の雨夜の品定めに行く前に、第二帖がなぜ「帚木(ははきぎ)」なのかをご説明しませう。

 五十七帖ある源氏物語の第一帖に出て來る女性は、云ふまでもなく、桐壺でした。

 源氏物語に出て來る女性は、 美しい植物の名前に例へられてゐます。桐壺は桐ですね。

 桐の花はきれいですね~。
 第二帖で、光源氏が戀をするのが空蟬(うつせみ)といふ女性です。彼女もキーパーソンです。

 その空蟬と光源氏が歌をかはします。

帚木の 心をしらで その原の 道にあやなく まどひぬるかな

 自分の求愛を無視し続ける空蟬の態度が理解できない光源氏が、家に押し掛けたにも關はらず姿を隱してしまつた空蟬に宛てて「せつかく私がアナタを求めてここまで來たといふのに、また消えてしまわれた。もうアナタの本心が分からない...。まるで帚木のような方だ!」と、嫌味つぽく詠んだ和歌です。

 いいな~、私は今、若かつたら、戀文は絶對和歌にします。

数ならぬ 伏屋に生ふる 名のうさに あるにもあらず 消ゆる帚木

 いやしい伏屋の生まれといわれるのがつらいのですから、それが今の私です。と空蟬は返します。

 ははきぎつて何だらうと思はれますよね?今の言葉では、ほうきぎと云ひます。箒(ほうき)の木です。茎は干して箒にし、実はとんぶりと呼んで食用とします。陸のキャビアと呼ばれてゐます。茹でて塩をふつて食べるとおいしいですよね。

 掃除をするので、消えるとなるのでせう。


 こんな木です。

 今日は、第二帖に出て來る女性が空蟬であることと、なぜ第二帖のタイトルが帚木なのかを知つてくださいね。

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このページは、宝徳 健が2016年6月 1日 09:49に書いたブログ記事です。

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