賢者の愛(皇紀弐千六百七十六年八月十三日)

| コメント(0) | トラックバック(0)
 學生時代、初めて谷崎潤一郎を讀んだとき、かなりショックを受けました。なんだこのエロチシズムはと。それも最初に讀んだのが「痴人の愛」だつたからなおさらです(笑)。細雪等 谷崎文學はひとつの文化を形成してゐます。でも、この「痴人の愛」は、強烈でした。

 これまた若いとき、山田詠美の「ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー」を讀みました。「女性でこんな本を書くんだ」とこれまたエロチシズムに驚きを覺へました。

 谷崎潤一郎と山田詠美。なぜ、この二人を書いてゐるのか。
 彼女が今囘、衝撃の本を上梓してゐます。「賢者の愛」です。完全に谷崎潤一郎の「痴人の愛」にその價値觀をぶつけてゐます。

 ひとりの女が、復讐のために、その復讐する相手の子を、小さい時から自分好みの男に仕上げていく。痴人の愛とは、男女が入れ替わつてゐますが、ストーリーは谷崎潤一郎に對する挑戰です。

 山田詠美の文章は輕快です。この人ほど、讀者の好き嫌いがはつきりしてゐる人はゐないでせう。一時期賣れないこともあつたさうな。でも、書くスタイルを變へません。

 これは面白い。映画化もするさうです。これを演じきれる俳優は誰だ。

 今、この賢者の愛と痴人の愛を比べて讀んでゐます。樂しい、樂しい。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.soepark.jp/mot/mt/mt-tb.cgi/6453

コメントする

月別 アーカイブ

Powered by Movable Type 4.261

このブログ記事について

このページは、宝徳 健が2016年8月13日 07:04に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「日本人としてのマナー(皇紀弐千六百七十六年八月十三日)」です。

次のブログ記事は「源氏物語 22(皇紀弐千六百七十六年八月十三日 參)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。