源氏物語 34(皇紀弐千六百七十六年十月十八日 參)

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 紫式部とは、本當ににくい作家です。第二帖の雨夜の品定めで、今後、光源氏をはじめとした男たちが接する女性を想像させ、その後の展開に期待を持たせます。

 この第五帖でも、若紫と光源氏が男女の仲になるまでにはいつてゐませんが、そのギリギリのところまで書いてゐます。そして、「ああ、この後、光源氏と若紫はどうなるのだらうか」と讀者に期待させてから次を讀ませやうとしてゐます。

 初めて源氏物語を讀んだときは、その登場人物の多さに壓倒され、すぐに斷念してしまひました。その次に讀んだときは、前に讀んだときの最初のストーリーパラダイムにこだわりすぎました。

 とにかく、源氏物語を讀むコツは、「心を虚しう」です。飛ばし讀みをしてもいいので、タンタンと讀みすすめる。

 さて、二条院(光源氏の住まい)に移り住んだ若紫です。
 光源氏の配慮が行き届き、幼い若紫の心も落ち着きを取り戻します。それどころかすつかり光源氏に慣れ親しんでしまひ、光源氏の歸宅を待ち受けて、二人でひな遊びをしたりしました。

 それだけならばよいのですが、なんと、夜は光源氏の懐に抱かれて寢起をする始末です。實の父親でもしませんよね。あぶねえあぶねえ。

 ここなんですね。「おいおい、この先この二人はどうなるんだよ」と讀者に思はせます。と、思はせておいて、源氏物語は第六帖に入ります。

 私は、この第六帖が大好きです。へー、光源氏でもこんなドジをするんだ~、と。

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このページは、宝徳 健が2016年10月18日 04:32に書いたブログ記事です。

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