灯點し頃(皇紀弐千六百七十六年十一月十二日 弐)

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 季節の素敵な言葉を時々紹介してゐます。

 高校時代、鬼平犯科帳を讀んでゐると「時分時」といふ言葉に出逢ひました。「じぶんどき」。毎日の定まつた食事の時間のことを云ひます。「久栄、時分時だ。佐馬に食事を。あっ、それから一杯もな」。う~ん、昔の人たちは、粋な言葉を使つていたのですね~。

 この時期の言葉で、時雨空(しぐれそら)があります。降ったりやんだり、一定しない空模樣のことです。時雨は晩秋から初冬にかけての雨です。バラバラと音を立てて通り過ぎるにはか雨です。今にも泣きさうな氣持ちにたとへられ、「時雨心地」とも云ひました。なるほど、空が泣きべそをかいてゐるように見立てたのですね。私たちの先輩は言葉づくりの天才です。

 さて、今日紹介する言葉は、「灯點(点)し頃」です。
 「ひともしごろ」と呼びます。灯りをともす時刻のことです。「夕暮れ時」「日暮れ時」と言つてもいいのですが、薄暗い夕闇に、ひとつ、ふたつと灯りが灯つていく情景は、火點し頃のはうが出てゐますよね。情緒があります。

 ひとつひとつの灯りの向うに、見ず知らずのひとつひとつの暮らしがあります。一生懸命、幸せの灯りをともさうとしている暮らしが。

 ああ、人戀しくなりますね。

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このページは、宝徳 健が2016年11月12日 09:06に書いたブログ記事です。

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