藤原正彦先生 3(皇紀弐千六百七十六年大晦日)

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 みなさん、今年一年、大變お世話になりました。来年もどうかよろしくお願い申し上げます。よいお年をお迎えください。

 つづきです。
 グローバリズムを中心に、エスタブリッシュメントとPC三頭立て馬車となって世界を引っ張ってきた。EU離脱決定とトランプ勝利は、三頭立て馬車に対する初めての大掛かりな反乱だったから、先進国エスタブリッシュメントはかくも動揺したのである。その中で、メディア、御用学者、評論家と政官財の密着ぶりもあからさまいなった。彼等は国民にとって唯一の情報源だかから、人々はいつも色のかかった情報に浸っているということだ。小泉構造改革、消費税増税、TPPなど、彼等が一斉に支持したから国民は内容をよく理解しないままに承諾した。

 国民が常に体制に好都合な方向に誘導されているというのは、民主主義を根底から揺るがすものである。これではグローバリズムの欺瞞に気付きにくいわけだ。

 グローバリズム信奉の学者たちが国民を説得する際に用いたトリクルダウン理論(富裕層や大企業などに富を集中させれば、そこから富がしずくのようにこぼれ落ち国民にまで及ぶ)は、完全に否定された。

 世界各国で国民が一部の富裕層と大多数の貧しい人々に分断され、格差はなお拡大しているからだ。競争社会によるストレスや移民の急増などで、欧米を中心に社会は混とんとなった。グローバリズムとは創始者フリードマンが言ったように、「国家も民族も持たず、一つのメカニズムが世界を結びつける」というものである。

 自国のことは国民の意思で決める、という民主主義とはもともと相容れない。人は祖国で生まれ、その自然で成長し、その文化、伝統、情緒で育った涙を滲ませた存在だ。二つの歴史的事件とは、彼等の「経済メカニズムに支配されてたまるか」との叫びであった。

                                                    をはり

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このページは、宝徳 健が2016年12月31日 14:18に書いたブログ記事です。

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