源氏物語 55(皇紀弐千六百七十七年四月二十二日 五)

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 まあ、話はぐちゃぐちゃです。葵の上に憑りついてゐたのは、なんと六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)だつたのです。

 さて、そんなことはありあしたが、葵の上(光源氏の正妻)は、無事に出産しました。贈り物が次々持ち込まれ、三夜、五夜、七夜、九夜の祝宴もにぎにぎしく催されます。

 六条御息所は自分が生霊となつて葵の上に憑りついたことには氣づいてゐません。でも、魂が抜けてさまよつてゐるやうな感覺はあり惱んでゐました。

 出産のニュースを聞いて、「あらっ、命も危ないといふ話ぢやなかつたの」とうらめしい。

 氣がつくと衣裳には祈祷に用ひる香のにほひが滲みこみ、髪を洗つてもとれません。

 「ああ、やはり、生霊になつて葵の上の枕邊に行つたんだわ」 自分が厭わしくなります。こんなことが世間に知られたら大變なことになります。獨リ心の中に隱してゐるとますます氣が變になりさうです。

 さて、光源氏はどうでるか。

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このページは、宝徳 健が2017年4月22日 02:22に書いたブログ記事です。

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