ヒゲミツ(皇紀弐千六百七十七年五月十六日)

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 宇佐美の親父さん第三弾です。
 
 親父さんは、業界からは「安賣り」とレッテル貼りをされてゐました。あるとき私に「寳德、俺は安売りはしたことがないぞ。現金安の掛け髙と云ふ至極當たりまえのことをしてゐるだけだ」と仰いました。

 驚くことなかれ、石油業界では、長く、「現金髙の掛け安」と云ふ、とんでもない商習慣がありました。掛け賣りの方がコストが髙いkので、市場価格が髙くなるのは當たりまえです。

 石油業界の常識は世間の非常識だつた時代です。

 なので、ガソリンスタンド店頭に掲げてある價格看板の現金價格を髙く誘導してゐないと、掛け賣り先から價各ダウンを要求されます。
 宇佐美の親父は眞すぐな方ですから、業界のことなどおかまいなしに、常識は常識で行動されます。

 當たりまえの「現金安の掛け髙」にしました。

 さあ、大變。宇佐美史郎は極惡人です。

 市況を亂す、極惡人。油を卸してゐる出光は、他の販賣店(出光では、特約店といはず販売店といふ)や他社の特約店から突き上げれれます。出光からの宇佐美に對する「指導(?)」もありました。

 「常識」からはずれた思考と行動をすることができない親父さんは當然この指導をけります。

 出光にもメンツがあります。取引停止の話にまで行きました。「明日、出光のアポロ看板(おわかりになりますよね?)を降ろしにいく(つまり取引停止)。

 もめてはいるものの、親父さんは、出光興産が大好きです。

 おちゃめな親父さんは、出光のアポロマークに髭を書きました。

 出光がきました。親父さんが云ひます。

 「お前らはアポロマークを取りにきたかもしんがなあ。それはできんぞ。あそこにあるのは「出光」ではなく「ヒゲミツ」だ」

 出光の社員も大笑い。ことなきを得ました。

 かういふ、相手の思ひもよらない考え方で物事を解決することを「アウフヘーベン(止揚)」と云ひ、リーダーに欠かせない資質の一つです。優秀な行政官やただものマネジメンターにはできません。

 にしても、親父さん。面白すぎますよ。

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このページは、宝徳 健が2017年5月16日 05:01に書いたブログ記事です。

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