命の手紙 29(皇紀弐千六百七十七年六月十日 參)

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 先日、家に歸つたら、いつものごとく親父から手紙が來てゐました。開けてみると、自分の葬式はここでやれだのなんだのが書いてありました。爆笑してゐると、かみさんが「でも、偉いよ。うちのお父さんなんて何にも考えてゐないよ。すごいと思ふ」と。なので「俺からは言へんけど、お父さん、お母さんが、準備をしてくれと云はれたら、やるよ」「なんだよね~。でも、その氣持ち全然なし」とのこと。

 まあ、すごい親父です。今年九十歳。昭和二年七月一日生まれです。

 金亨貞さんとその奥様からの手紙の最終囘です。親父が書いた注記です。
[注記]
 金亨貞は心臓手術だからICU(集中治療室)に入っている。

 当時は女性に対するビザは1か月しか求められなかった。ビザ延長の手続きは簡単にいかない。赤の他人の日本人の男が「美人の女」を連れてきて、旦那が心臓手術をしてICUに入っているなどと説明しても聞き入れない。当然、売春・買春に違いないと疑い、お役人はウンと言わない。

 簡単に認めないのは分かるが、こちらはそうはいかない。

 大声でやりとりした結果、法務大臣宛に「嘆願書」を書けと、白い紙を2枚(複写)渡された。何とか書いて申請書に添えて窓口に行くと訂正箇所を指摘された。カーボン紙複写だからカーボン紙のあるところに引き返さないと書き直せなかった。

 「韓国のキムさん」と呼ぶのでやれやれと思い窓口に行くと、韓国にキムさんはワンサといてオレではない。そのうち昼休み。入管には昼休みがあるのだ。

 1か月ごとの延長だから入管には2度行った。嘆願書も2度書いた。 つづく

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このページは、宝徳 健が2017年6月10日 05:07に書いたブログ記事です。

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