どの本よりわかりやすい南総里見八犬伝 再34(皇紀弐千六百七十七年七月二十六日 四)

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 信乃が明日たつというのに、亀篠が明後日にしなさい、と言いました。なぜでしょうか?
 信乃は叔母夫婦の腹の内を知っているけれど、一人の女子にひかれてぐずぐずしているときではないと考えています。浜路は信乃を旅だたせたくないから心が進みません。仕方がなく、信乃の旅支度をしていますが、ときおり、やるせなく、ため息を漏らします。

 信乃は、翌日、亀篠にすすめられるまま、滝野川の弁財天に参詣しました。夕方になって帰ってくると、田んぼの中で、思いがけず、蟇六が、左母二郎(さもじろう)をつれて向こうから来るではありませんか。

蟇六「信乃よ、滝野川参りに出かけたと聞いたが、よいところでであった」
信乃「こんな夕方から漁ですか? どちらへおいでです?」
蟇六「いやあ、明日のお前の門出のために、別れ酒の魚を探したんだが手に入らんので、自分で網をうって、明日の魚をとろうと家を出た折、左母二郎どのとであってな。おまえも一緒にどうか」

 なんだか怪しい雰囲気です。

 信乃は断りかねて一緒に行きました。

 蟇六は、あらかじめ打ち合わせておいた船頭と一緒に舟に乗ろうとした瞬間、「あっ、しまった、家を出るとき、あわてたので弁当を忘れてきた。とってきてくれ」と、連れてきた老僕に命じます。

 老僕が走り去ると、三人は小船に乗って河に漕ぎ出しました。蟇六は必死に投網を投げているふりをしていましがた、そのうち、網とともに、身を躍らせて水の中に落ちてしまったのです。皆、あわてて板などを投げ込みますが、夜になっていたので、水面が暗くて蟇六の姿がどこにいるのかわかりません。

 さてさて、これがどうかるか。賢明な読者のみなさんは・・・。まあいいや。つづく。

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このページは、宝徳 健が2017年7月26日 01:25に書いたブログ記事です。

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